「自分にとってもっとも重要だったのは、信頼してもらえている、大切にされていると感じられること。それが契約延長のポイントでした。あわせて、ヴィッセル神戸のために自分のベストを尽くすモチベーションとワクワク感を、感じ続けていることも重要でした」

　ヴィッセルではキャプテンを務めており、三浦淳寛監督とチームメイトから厚い信頼を寄せられている。昨年12月のACL準々決勝で、ケガをおして強行出場した際に、三浦監督は「彼はキャプテンであり、誰からもリスペクトされる存在です。彼の存在自体によって、クラブとして前向きになれるし、ポジティブになれる」と話した。今シーズンからヴィッセルでプレーする井上潮音は、東京ヴェルディからの移籍を決断した理由のひとつに、「イニエスタの存在」をあげていた。

　背番号8を着けるキャプテンは、文字どおり唯一無二の存在としてヴィッセルに不可欠な選手であり、謙虚で学びの姿勢に溢れる日本人選手との関りは、自身の存在意義を確認できるものだと言える。

神戸で8番を背負うイニエスタ　©Getty Images

「日本・神戸が第二の故郷になりました」

　日本のサッカー文化への共鳴も、ヴィッセルとの契約延長を選んだ理由にあげられる。11日の会見では、「神戸と日本のみなさんにも、感謝申し上げたいと思います。愛情とリスペクトを持ってみなさんがおもてなしをしてくださったことで、第二の故郷になりました」と話した。思いのほか短かった会見でさらにもう一度、イニエスタはファンへの感謝を口にする。

「ヴィッセル神戸のファンの皆さん、日本のサッカーファンの皆さんにも、改めて自分を歓迎してくれて本当に感謝していますし、皆さんが示してくれた応援や気持ちに応えていかなければいけないというのは、ひしひしと感じていますので、そのためにも今後も努力を続けていきたいと思います」

　ヴィッセルのホームスタジアムはもちろんアウェイゲームでも、イニエスタは観衆から声援を受ける。コーナーキックなどでスタンドに近づくと、カメラのシャッター音が勢いを増す。人気は絶大だ。

【次ページ】　その2）欧州南米にはない“日本のサッカー文化”