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「ショート10年寿命説」鳥谷敬も宮本慎也も…ホークス今宮健太29歳はどうなる? 異例の“定期的欠場”のウラ側
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKYODO
posted2021/05/08 11:03
ソフトバンク、ショートの今宮健太。一軍のショートを守って10年目を迎えた
「ショート10年寿命説」鳥谷敬も宮本慎也も…
かつての名手たちが「ショート10年」を境にして成績が落ちたり、コンバートされたりした例が散見されるのだ。
現役選手だと鳥谷敬(現マリーンズ)だ。タイガースに入団して2年目にショートで146試合フル出場を果たし、以来11年間はショート一本でレギュラーを張ってきた。しかし、16年に打率2割3分台と低迷すると三塁を守る機会が出てきて、その翌年から本格的に三塁転向となった。
名手の代表格では宮本慎也もそうだ。入団3年目の97年に初めてショートで年間100試合以上(115試合)に出場。「ショート宮本」のイメージが強いが、11年間ショートのみでプレーした後は三塁を守った。
ほかにも井端弘和や金子誠、小坂誠がやはりショートを10年間守り続けたあたりで分岐点を迎えた。
今宮も「ガタは来ていますよ」
今宮はプロ野球界の中で小柄な方だ。その体で超人的な力一杯のプレーを続けてきた。
「ガタは来ていますよ」
ここ数年は故障に悩まされている。右肩や右肘の不安。下半身も太もも裏やふくらはぎを痛めた。今季に向けて故障防止を最重要課題にして「好きなものを食べない」と食事面から改善に乗り出した。好物の肉類や揚げ物を控えて、体重減に成功もした。
「まずは怪我なく1年間戦い抜くことがテーマです」
今季の目標をメディアに訊かれるたびに、何度も何度も同じ答えを繰り返した。それだけ思いが強かった。
その思いを胸に迎えた今シーズン。前述した開幕2試合目の超美技&サヨナラも見事だったが、前日の開幕戦では第1打席に先制2ラン本塁打を放った。つまり開幕から2試合続けてヒーローになったのだ。
異例の“定期的欠場”のウラ側
順調な滑り出しのはずだった。
しかし、ここまで成績は振るわない。打率は1割台しかない。メンバー表に今宮の名前のない日も週に1、2度見られた。
欠場は不振や蓄積疲労、コンディション回復などが理由だと思われた。しかし、4月21日の試合前のこと、工藤公康監督が今宮の欠場について明らかにしたのは意外な理由だった。