野球のぼせもんBACK NUMBER
「ショート10年寿命説」鳥谷敬も宮本慎也も…ホークス今宮健太29歳はどうなる? 異例の“定期的欠場”のウラ側
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKYODO
posted2021/05/08 11:03
ソフトバンク、ショートの今宮健太。一軍のショートを守って10年目を迎えた
「コンディショニング担当のトレーナーが言うには『筋力が足りない』と。その状態でプレーを続けると怪我につながってしまう。それはよくない。今宮くんはチームに絶対に必要な選手。とにかく一軍でプレーをし続けてほしい。そのためにどうするのがベストなのか、トレーナーからも意見も出してもらいました」
近年、故障を繰り返したことでリハビリに多くの時間を費やし、肉体強化が満足に行えていなかった可能性はある。通常、どの選手もシーズン中にもウエイトトレーニングなど強化メニューは行うが、試合と並行して行うために増強よりも維持の意味合いが大きくなる。そこで今宮には敢えて「トレーニング強化日」を設け、その翌日には疲労などを考慮して試合起用を見送るという思いきった選択がとられたのだった。
怪我をしているわけでもないのに、試合に出られない。今宮も最初に聞かされた時は「どういうことだ?」と戸惑った。
「だけど、それだけ僕のことを考えてくれているわけですから、その思いや期待に報いるために僕はやれることをしっかりやるだけです」
今年で30歳「まだまだショートでやれる」
工藤監督はこのイレギュラーな期間を当初「2週間を想定している」と話していた。その間は欠場した日もあれば、極度の筋肉痛と戦いながら試合に出場もした。「言い訳はしたくない」と今宮は言うが、その期間の成績が振るわなかったことと無関係ではない。
工藤監督や野手を任される小久保裕紀ヘッドも想定していたはずだ。それを承知でこの期間を設けたのだ。
そして、2週間という時間はすでに経過している。
今宮は再び覚悟を口にした。
「まだまだショートでやれると思っています。意味のある時間をもらったと思っていますし、チームの為に成績にもこだわっていきたい」
今年7月で30歳になる。「もともと諦めのいい性格だから、もう無理だなと思った時はスパッと」と笑って話すが、稀代の遊撃手のプレーをまだ見続けたい。
過去の「10年」の事例に抗って、この先もずっと胸を熱くさせてほしい。そして、異例の「トレーニング欠場」という調整法がどのような結果を生むのか。今後の今宮には是非注目したい。