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「暑い日も寒い日も生理を止めることは…」 サッカー下山田志帆が“ジェンダー視点のボクサーパンツ”を開発した経緯とは 

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中﨑史菜

中﨑史菜Nakazaki Fumina

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2021/04/29 17:01

「暑い日も寒い日も生理を止めることは…」 サッカー下山田志帆が“ジェンダー視点のボクサーパンツ”を開発した経緯とは<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

ドイツから帰国後、サッカー選手と両立して経営者にもなった下山田志帆

下山田:本当に皆さんのおかげです。クラファンで設定したファーストゴールの100万円はスタートを切るまでの100万円だと思っています。100万集まらなければ売る意味はないとすら考えていたので、これでやっとスタートが切れます。

自分が感じていたのは精神的苦痛なんです

――改めて「OPT」のコンセプトや開発に至った経緯を教えてください。

下山田:我慢するのが当たり前だと思われてきた「生理」の悩みに、私自身もずっと悩まされてきました。夏の暑い日も雨の日も、白いユニフォームを着なければならない日も、生理を止めることはできないじゃないですか。ムレやズレ、モレといった身体的苦痛を感じていたんです。

――それはものすごく同意。特に白いユニフォームの時は、モレていないかものすごく気になってプレーに集中できないよね。

下山田:そしてもう一つ、自分が感じていたのは精神的苦痛なんですよ。

 生理用品売り場にいる自分が嫌、花柄やレースがあしらわれたフェミニンな生理用品を持ち歩くことが嫌、タンポンを膣に入れるという行為そのものが嫌……。

 こういった苦痛は、社会にある「女性らしさ」が自分には合わないと思ってきた自分や、共同代表である内山穂南が感じてきた苦痛です。

――なるほど。生理用品を買うこと自体に抵抗を感じている人がいるとは、正直気づけていなかったな……。

下山田:そんな時に、身体的苦痛を軽減できる「吸収型ショーツ」という商品に出会ったんですよ。パンツ自体が液体を吸収する機能を持っているので、「普段と変わらない穿き心地でいつでも過ごせるなんて!」と眼から鱗でした。

 でも、吸収型ショーツのデザインもフェミニンなものばかり。ジェンダーのステレオタイプに基づいたデザインが自分の選択を阻んでいると感じたんです。

――それで、自分たちで開発することにしたんだね。開発秘話を教えてほしいなあ。

【次ページ】 大手百貨店へと商談に行ったとき……

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下山田志帆

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