時間が進むと、話は過去へと飛んでいく。ジャパン、そして早稲田での話にもなった。

「エディーさんがジャパンのヘッドコーチになってから、ミーティングでは後ろの方に座ってたんですよ。たぶん、ムスッとした顔で。いろんなことに構えてたというか。でも、リーダーシップグループに入ってから、自分でも変わったと思います。トシさん（廣瀬俊朗）や堀江（翔太）、リーチ（マイケル）と話した時間も、ジャパンを変えることにつながってたと思います」

「早稲田の試合の週だったかな。キックボードに乗ってたら、清宮（克幸）さんに見つかって、あの眼でギロっと睨まれて（笑）」

　稀にではあるが、海外で日本の情報から隔絶された環境になると、取材というよりも、「語らい」の場になることがある。この日は、そんな場だった。

　望まずして「セレブリティ」の枠に入ってしまった五郎さんが、自然に呼吸をしていた街、トゥーロン。

　五郎さんが引退したいま、2016年11月20日、トゥーロンでの不思議な一夜を鮮明に思い出す。

　2023年、フランスW杯のときに、街はずれのあの場所を、もう一度訪ねられたらいいなと思う。

現役最後となった試合をスタンドで見守った五郎丸。後輩たちへ思いを託した　©︎Itaru Chiba

【画像】「荒ぶる」早稲田大時代の五郎丸歩、2015年W杯で見せた華麗なキック＆スーパータックルをもう一度見る！

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