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高校時代は同性の恋人が「大問題になってしまった」…ラグビー・村上愛梨が“同性婚の自由”を訴え続ける理由

posted2021/05/09 11:02

 
高校時代は同性の恋人が「大問題になってしまった」…ラグビー・村上愛梨が“同性婚の自由”を訴え続ける理由<Number Web> photograph by Haruka Sato

東京・新宿区の「プライドハウス東京レガシー」でインタビューに応じた村上

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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Haruka Sato

 現役のアスリートが性的マイノリティであることを前向きに発信するケースが相次いでいる。その1人が、15人制のラグビー女子日本代表の村上愛梨(横河武蔵野アルテミ・スターズ)だ。SNSなどで同性のパートナーがいることを公表し、同性婚の自由を訴えて声を上げている。過去には辛い思いも経験しながらカミングアウトし、発信を続ける理由は何か。そして1年延期されたラグビー女子W杯への思いを聞いた。

 村上のSNSには、ラグビーを愛するアスリートとしての顔とともに、同性のパートナーがいる日常も隠さず綴られている。揺れる思いや迷いを見せる時もあれば、SNSでつながった見ず知らずのフォロワーからの質問に答えることも。その姿は実にナチュラルだ。

「私は、人として人が好き、というスタンス。性自認はシスジェンダー(生まれた時の性別と自分の認識が一致していること)で、女性であることに違和感はありません。性的指向は女性に向くことが多い。レズビアンという言葉はあまり好きじゃないので、同性のパートナーがいる人たちの中の1人、という感覚です」

恋人の存在を話すのは「実はすごく怖かった」

 年下の女性で「愛情深くて、自分のことを大切にしてくれる人」という恋人の存在は、家族にもチームメイトにも隠していない。

「今のチームの監督、メンバーが受け入れてくれるんです。偽りがなくて、とてもオープン。ありのままの自分でいいんだよ、ということを体現してくれるから、色々なスイッチが入って、発信できたようなところもあります。チームメイトはみんな年下ばかりだけど、同性の恋人のことを話しても“そうなんですね、会いたーい!”みたいな感じ。私自身を好きでいてくれるから、私の好きな人も受け入れてくれる。高校時代のことがあったから、実はすごく怖かったんですけど……」

 心に引っかかっていた「高校時代のこと」とは、村上がラグビーに転向する以前、バスケットボールに励んでいた部活内での出来事だった。部活内で付き合っていた同性の恋人のことが問題となり、心無い言葉を浴びた。

【次ページ】 「大問題になってしまった。辛い過去です」

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村上愛梨
横河武蔵野アルテミ・スターズ

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