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「ボクサーはなぜ猫好きなのか?」猫パンチを食らっても愛する内山高志が答える…女性のタイプもネコ系!?《拳四朗は猫ケーキ発注》
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byTakashi Uchiyama
posted2021/04/22 11:00
この取材のために猫パーカを着用した内山さん。ビルス(左)との2ショットに挑むも、逃げられて実現せず…
猫カフェがきっかけで、はまるボクサーは一人ではない。日本ライト級5位で8戦全勝(7KO)のホープ、宇津木秀(ワタナベ)も犬派からの“転向組”。今年1月にA級トーナメント決勝で優勝した後、後楽園ホールで思わず心の声を口に出してしまった。
「早く猫に会いたい」
コロナ対策のため試合前日からホテルで隔離されていたこともあり、恋しくなったのだ。昨年5月から飼い始めたのは大型のメインクーン。名前は最も好きなボクサー、元4階級世界制覇王者のマイキー・ガルシア(アメリカ)から取り、マイキーちゃん。1歳にして、すでに体重は6.9kgもある。
「うちの猫はめちゃくちゃでかいんです。僕らボクサーみたいに減量もしないから大きくなるいっぽう。見た感じ、犬のダックスフンドみたい」
それでも、猫の俊敏性は失っていない。アマチュアで100戦以上こなし、プロのリングで負けなしの宇津木も思わず目を丸くしてしまう。
「サイドステップが速い。僕も一度真似したのですが、思い切り足をくじきました。あれは難しい」
そして、逃げ足が速い。今年1月の試合後、2日ぶりに再会したときのことは忘れもしない。宇津木が抱きしめにいくと、一瞬ですっとかわされた。
「そっけない対応でした。知らない人を見るような感じなんですよ。体を横に向けて威嚇までされて……。そのあと、つかまえてブチューと口づけしてやりましたけど」
勝利の報告をしても、知らん顔。
「『そんなことはいいんだよ』とばかりに餌があるテレビ台の下に鼻をこすりつけていました。でも、あの突き離してくる感じがいいのかなあ。『餌をくれよ』という顔を見ると、許せてしまうんです。甘えてこないところが、逆にくすぐられる」
すっかり猫の虜である。自身が開設したインスタグラムのストーリーも、気がつけばマイキーちゃんの登場回数が多くなっている。意図したわけではないが、フォロワーも100人以上増えたという。今年中に日本王座に就き、キャリアの節目として2匹目を迎え入れることも視野に入れている。その先に見据えるのは世界だ。層の厚い階級で簡単に道は拓けないことも理解しているが、自信はある。
「まだ遠い位置にいますが、やるからには世界を獲りたい。そのチャンスをつかむためにも、倒して、倒して、インパクトのある勝ち方をしていきます」