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“泥酔事件”王者・寺地拳四朗に“2度ドタキャン”された男、久田哲也36歳がついに挑戦「正直、舌打ちしたい気持ちでしたけど…」
posted2021/04/23 11:01
text by
芹澤健介Kensuke Serizawa
photograph by
Kensuke Serizawa
4月24日、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される大阪で、因縁含みの大一番のゴングが鳴る。エディオンアリーナ大阪で開催される「WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ」だ。
現役日本人選手として最多、8度目の防衛を目指す王者・寺地拳四朗(29=BMB)に対し、満を持して勝負に挑むのは同級1位の久田哲也(36=ハラダ)。
もともとは昨年12月に組まれていた試合が王者の“不祥事”発覚により延期され、4カ月遅れでようやく開催に至った。だが、挑戦者の久田にとっては、ある意味で4年も待たされた試合である。
「またですか…。ふざけないで下さいね」
本来なら昨年12月19日に行われる試合だった。
直前に延期された理由は、コロナでも怪我でもない。ボクシングファンなら知っての通り、王者・寺地が酒に酔った挙句に都内のタワーマンションの敷地に侵入し、人の車を破壊するという前代未聞の不祥事が発覚したからである。
「文春オンライン」がその“事件”を報じたのは、試合の約3週間前の11月25日のこと。
久田はこの時、大晦日に世界4階級制覇王者の井岡一翔(Ambition)との世界戦を控えていた田中恒成(畑中)を相手にスパーリング合宿の真っ最中だった。
「田中選手からは『あれ? 試合なくなっちゃったんですか?』と聞かれて。僕も『うーん、どうなるんやろう』って不安でしたね」(久田)
その後、寺地サイドと被害者の間には示談が成立したものの、事実を重く見たJBC(日本ボクシングコミッション)が試合の延期を決定。寺地に対して300万円の制裁金と6カ月の間に通算48時間以上200時間以内の社会貢献活動、および3カ月のライセンス停止を申し渡した。
だが、納得いかなかったのは挑戦者の久田だろう。目前に迫っていた試合が、突然の相手都合で、しかも王者としてはあるまじき理由で、仕切り直しになってしまったのである。
〈またですか…。ふざけないで下さいね〉