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“井上尚弥vsカシメロ”は来春までに実現か…カシメロ陣営のプロモーターに聞く「井上はディフェンス面で劣っている」
posted2021/04/20 17:03
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Getty Images
世界ボクシング界は徐々に活気を取り戻し、今夏、バンタム級も一気に盛り上がろうとしている。今や世界最高級の評価を受けるようになったWBA、IBF王者・井上尚弥(大橋)は6月、ラスベガスでIBF指名挑戦者マイケル・ダスマリナス(フィリピン)との防衛戦が内定。5月29日にはWBC王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)がノニト・ドネア (フィリピン)、8月にはWBO王者ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)がギジェルモ・リゴンドー(キューバ)と対戦することも発表されている。
一気に動き出したバンタム級周辺の今後を読み解くために、MPプロモーションズ(マニー・パッキャオが設立した会社)のショーン・ギボンズ・プロモーターに言葉を求めた。カシメロ、ダスマリナスをどちらも傘下に収めるギボンズはバンタム級戦線の鍵を握る一人。その言葉を聞く限り、2021年後半、いよいよ強豪たちの直接対決が始まる可能性は高そうだ。
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ラスベガス開催・井上尚弥対ダスマリナスは「ほぼ確定」
現在、軽量級はアメリカでも注目を集めるようになりました。その中でカシメロ、ダスマリナス、そしてIBF世界スーパーフライ級王者ジャーウィン・アンカハス(フィリピン)といったスーパーフライ、バンタム級のトップファイターを傘下に持つ私は幸運という以外にありません。彼らが適切な機会を手にできるように尽力しています。
日本のファンが最も気になるのは井上尚弥対ダスマリナスでしょうね。すでに報道されている通り、この試合は6月19日、ラスベガス開催でほぼ確定。すべての準備が整ってきており、何か予想外のことが起こらない限り試合は行われるでしょう。
今回の指名戦の交渉は非常に容易でした。井上は大橋ジムの選手ですが、米リングに精通する帝拳ジムのミスター本田(本田明彦会長)の助けも借りました。ミスター本田はとても誠実で信頼できる人物。私は彼に絶大な尊敬の念を抱いており、その尽力のおかげですんなりと合意に至ったのです。
東京五輪による不都合で、日本開催は白紙に
もともと井上対ダスマリナス戦は日本で開催されるという話があり、私たちは訪日のチャンスが得られることにエキサイトしていました。日本のファンは素晴らしいですし、フィリピンからは日本に飛ぶ方がベガスよりずっと近いですからね。ただ、いくつかの問題が持ち上がり、結局はアメリカ開催に変更になりました。
外国人が日本入国時に課せられる2週間隔離が取り沙汰されましたが、ホテル内でのワークアウトも可能なわけで、私はさほど心配していませんでした。それよりも、試合期日が東京オリンピックの目前だったことで様々な不都合が生じたのが大きかったのです。ただ、ラスベガス開催でも我々の側には何も問題はありません。しばらく静かだったベガスも6月中旬の興行時にはフルに近い客入れが可能になっているでしょうし、良い雰囲気になるはずです。