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ホークスに何が? 5連敗&パ最下位“チーム打率.216”…小久保・新ヘッド「1日1000スイング」「2部練」の成果は出るか
posted2021/04/07 17:02
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
KYODO
昨年は120試合で113通り――。
日々打線を組み替えてシーズンを戦い抜くのが、昨年のホークスのやり方だった。スタメンを考えるのは基本的に打撃コーチの役割だったが、そこには工藤公康監督の考えも大きく反映されていた。投手目線で“何をすれば相手が嫌がるか”を考えたり、データやコンディショニングを日々研究したりして最適なメンバー選びを試合毎に行っていたのだ。
一方で、今年のホークスは打順を固定する傾向にある。
開幕して5試合目までは1番から9番まで全く同じオーダーを組んだ。6試合目以降はグラシアルや柳田悠岐を負担軽減のためにDHで起用したことでデスパイネが外れたりしたが、打線をいじるにしても必要最低限にとどめる形をとっていた。
今年、工藤公康監督は「野手陣については小久保(裕紀)ヘッドに任せている」と言い続けている。
小久保ヘッドに時折話を聞くと「打順を考えているのは打撃コーチ」と返ってくるが、昨年との違いを見れば“小久保イズム”が反映されていると考えるのが間違いないだろう。
工藤監督が「動」、小久保ヘッドは「我慢」?
この対比、非常に興味深い。
工藤監督は強気な勝負師の一面を持つ。
采配には「絶対」など存在しない。どんな決断だとしても成功と失敗は隣り合わせだ。ただ、そこには「確率」が存在する。工藤監督はありとあらゆる準備を大切にし、それに裏打ちされた考えに基づいて積極的に動くことで、高い成功確率を手繰り寄せてきた。
上手くハマった時、勝負の流れは自らの手の中にある。チームはもの凄いスピードで好転していく。この方法には、即効性が期待できるのだ。
工藤監督が「動」ならば、小久保ヘッドは「静」か。いや、違う。辛抱や我慢という表現の方が当てはまるかもしれない。
耐え抜く時間の中には、必ず努力が存在する。小久保ヘッドはその先にある光を求めているように見えるのだ。
「1日1000スイング」&「2部練」
今春の宮崎キャンプで話題の中心となった「1日1000スイング」もその象徴だったと考えられる。