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<今季初メジャーどうだった?>世界ランク103位の21歳タイ人が“完全優勝”…予選落ちの渋野日向子ら、日本勢の収穫とは
posted2021/04/06 06:00
text by
南しずかShizuka Minami
photograph by
Getty Images
今季初の海外メジャー大会「ANAインスピレーション」(現地時間4月1日~4日)を制したのはタイ人のパティ・タバタナキットだった。18アンダーで米ツアー初勝利をメジャー初制覇で飾っている。
今大会には日本から7選手が出場。しかし渋野日向子、原英莉花、上原彩子、野村敏京は予選落ち。河本結は28位タイ、笹生優花は50位タイ、畑岡奈紗は67位タイといずれも振るわなかった。
予選カットラインにあと1打届かなかった渋野は、特に2日目はショットの縦の距離感がなかなか合わず、難しいアプローチが残り、それを寄せきれずと流れを掴めなかった。初日を最下位の6オーバー、116位タイと出遅れた原は2日目もスコアを落とし「序盤から3パットが続いてしまって、自ら流れをたつような形になってしまった」とインタビューで敗因を語っている。
優勝のタバタナキットは21歳
原や渋野が苦戦した一方で、優勝争いを演じたのは同世代にあたる若手選手たちだった。2016年大会の王者で、23歳ながらすでに実績十分のリディア・コー(ニュージーランド)は最終日に10アンダーというビッグスコアをたたき出し、リーダーボードを駆け上がった。そんな追い上げを跳ね返したタバタナキットは21歳。初日からの首位を一度も誰にも譲ることなく完全優勝を達成している。
国内で話題の中心にいる渋野ら“黄金世代”は、同世代の海外勢に歯が立たないのだろうか。そんな疑問も浮かんでくるが、そう結論を出すのはやや短絡的である。
戦いの舞台はミッションヒルズCC(米国カリフォルニア州/6865ヤード・パー72)。50年間の歴史あるANAインスピレーションだが、会場はずっと変わっていない。試合前、自身9回目の出場となった上原は、その攻略方法をこう語っていた。
「コースコンディションは、すごく仕上がっていて、難易度は今までで一番。グリーンは硬くて止まらない。そのため、グリーンを外れた時に、いかにそこからリカバリーできるかがポイント。しかも例年よりラフが長く密集し、カラーとラフの境目もしっかりあって、グリーン周りの難易度も高い」
さらに、ミッションヒルズCCは砂漠地帯の気候である。試合期間中は、連日35度を超え、湿度は5%を記録。日本ではありえないドライな暑さの影響で、コースは硬いまま。過去に同大会で8位に入った実績をもつ上原をもってしても、メジャー屈指の難コースを攻略するまでに至らず、予選落ちを喫した。
つまり、ANAインスピレーションを勝つには、ある程度の“慣れ”が必要だったということだろう。戦い方を知っている実力者が、リーダーボードにひしめき合うのだ。