酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
大谷翔平、今季は“リアル二刀流”でフル回転か 狙える数字を“皮算用”すると打者で35本塁打、投手で奪三振は…
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byAP Photo/Mark J.Terrill/AFLO
posted2021/04/03 11:02
トミー・ジョン手術から復帰した2020年こそ成績は残らなかったものの、今季の大谷翔平からは大きな期待感が漂う
大谷は外野手としても守備範囲が広く優秀だが、外野を守ることは足や肩、ひざなどへの負担を高める。筆者は日本ハムの春季キャンプで大谷が右翼を守り、打球を追ってつまづいたのを見たことがある。栗山監督は慌てて交代させていたが、リスクを考えて外野で起用することはなくなったと推察される。
大谷翔平が「リアル二刀流」をする上での懸念材料は、「活躍できるか」ではなく「故障しないか」ということに尽きるだろう。投げるだけでなく、打ち、走り、守ることで、故障のリスクは高まるのだ。
投手としての懸念、チームの方針は?
打者としての大谷翔平に大きな懸念材料はないが、投手としては心配がある。
大谷はMLBデビュー登板となった2018年4月1日のアスレチックス戦で6回自責点3、つまり先発投手の最低限の責任とされるQS(Quality Start)をクリア、この年は10試合に登板して5試合でQSをマーク、4勝を挙げて投打の合わせ技で新人王を獲得した。
しかし2018年5月20日を最後に大谷はQSを記録しておらず、2018年10月にはトミー・ジョン手術を受けた。リハビリを経て2020年マウンドに復帰してはいるが、まだ結果を出していない。
今年のスプリングキャンプでは、MLB移籍後最速の164km/hを記録して、期待が高まっているが、球速が上がることで、故障リスクという側面もある。
ある元投手コーチが、このように話していたことがある。
「投手というのは、大砲と同じなんだよ。大きな大砲は弾を発射した後、砲身が後ろに下がっているだろ。あれは発射の衝撃が自分に返っているんだ。いわゆる反動だ。すごい球を投げる投手も、その反動が自分の身体に返ってくるんだ。球速が上がったらその分、気をつけないといけない」
マドン監督は、大谷に少しでも異常があると感じられた場合は即座に降板させるだろう。現状ではローテの4番手、5番手と言われているが、彼の投球に大きく依存しようとは考えてはいないと思われる。
さて、ここまでの考察をもとに、大谷翔平の2021年の成績を予想してみよう。