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【MLB開幕】契約最終年カーショーを9度目の開幕投手に指名、ドジャース・ロバーツ監督の連覇への“思惑”とは
posted2021/04/01 11:01
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
昨季、1988年以来、32年ぶりにワールドシリーズを制したドジャースでは、今季もエース左腕のクレイトン・カーショーが開幕投手を務めることになった。球団史上最多となる通算9回目の大役は、デーブ・ロバーツ監督の強い意志に基づくものだった。
「ただ、彼がふさわしいと感じたからだ。2021年のその役割として彼が適任であり、毎年のように、それがもっとも適していると感じた」
サイ・ヤング賞3回、通算175勝76敗の実績を残し、将来、野球殿堂入りが確実視される大エース。もちろん、異を唱える声はない。ただ、カーショーにとって、2021年は契約最終年。今回に限れば、決断したロバーツ監督の思惑と心遣いが見え隠れする。
ドジャースのエースは誰なのか
2011年から8年連続でドジャースの開幕投手を務めたカーショーにすれば、開幕日の先発は「恒例行事」だった。だが、19年は左肩痛で開幕直前に故障者リスト入りし、昨年は腰痛のため、試合開始直前に登板を回避せざるを得なかった。過去数年は、シーズン途中に故障離脱することが多く、ポストシーズンでも本来の投球ができない試合が目立ったこともあり、絶対的エースの陰りを指摘する声も聞こえていた。
迎えた今季、キャンプイン前の時点では、巨額契約でFA(フリーエージェント)移籍した昨季のサイ・ヤング賞右腕トレバー・バウアー、または次のエースとされる快速右腕ウォーカー・ビューラーが、開幕投手の有力候補に挙げられていた。
それでも、大役はカーショーに一任された。
「確かに、162試合のひとつに過ぎない。だが、特別なことだ」
正式発表後、カーショーはチームの顔として認められる開幕投手へのこだわりを、隠すことなく、さらに言葉を続けた。
「過去、ドジャースでやり遂げてきた人達と同じように、歴史のあることで、とても意義深いものだと思う。野球シーズンの始まりの一部を担い、4月1日を迎えることはとてもエキサイティングなことだと思う」