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中京大中京・畔柳の評価は「則本昂大に近い」 中日のスカウト歴任者が明かすドラゴンズとの“浅からぬ関係”
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byKyodo News
posted2021/04/01 17:02
31日の明豊戦に4回途中から登板した中京大中京・畔柳亨丞。「1週間で500球」ルールの中、甲子園を去った
近藤真一や井端弘和らの獲得に携わった水谷氏
水谷氏は東邦から駒大、新日鉄名古屋を経て1979年に中日に入団。球速以上に速さを感じるストレートを武器に、通算181試合登板、7勝5敗5セーブという成績を残した左投手だ。故障もあり現役生活は5年と短かったが、その後も投手コーチを務めた。中でもスカウト歴は20年以上。初登板でノーヒットノーランを記録した近藤真一や、黄金期に活躍した井端弘和らの指名、獲得に携わっている。いわば原石を見極める目利きだけに、畔柳のストロングポイントと、熱いうちに打っておくべきポイントもすぐに見抜いたわけだ。
「突っ込んだり、浮き上がったりしていたので、リリースポイントもまちまちでした。だから軸を安定させないといけませんでした。真っ直ぐ立って、真っ直ぐ前に行く。畔柳君は非常に貪欲。言われたことをすぐにできなくても、やり通す意志の強さがありました。今回の甲子園を見ていても、しっかりとできている。あの意志の強さは本当に感心していますし、それがああいう好結果にもつながったんじゃないでしょうか」
「タイプでいえば近藤真一、則本昂大に近いでしょうか」
中学時代の畔柳は「SASUKE名古屋ヤング」というチームに所属しており、DBA入校2年目には侍ジャパンU-15(清水隆行監督)にも選出されている。
「彼の性格、野球に取り組む姿勢があれば、私はプロにも行けると思っています。私が見てきた中では、タイプでいえば左の近藤真一、同じ右なら則本昂大(楽天)に近いでしょうか。本当に成長が楽しみですね」
水谷氏の畔柳に向ける視線には指導者としての厳しさもあり、祖父のような優しさもある。12球団トーナメントに出場するドラゴンズジュニアからは、根尾昂、石川昂弥、高橋と3年続けて出身選手をドラフト1位で指名している。しかし、まだ歴史も浅いDBA育ちの指名選手は出ておらず、畔柳には第1号としての期待もかかっている。ちなみに畔柳は先述のU-15日本代表選手として、2018年10月13日の中日―阪神戦(ナゴヤドーム)で始球式を務めたこともある。その日は岩瀬仁紀、荒木雅博という2人のレジェンドの引退試合でもあった。18年足らずの畔柳の人生において、ドラゴンズとの縁と絆は一貫して太く、強くつながっている。