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奥川恭伸はヤクルトの田中将大になれるか? “どれだけホームランを打たれても”ファンが温かく見守るべき理由 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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posted2021/03/30 11:02

奥川恭伸はヤクルトの田中将大になれるか? “どれだけホームランを打たれても”ファンが温かく見守るべき理由<Number Web> photograph by Kyodo News

28日の試合で先発したヤクルトの奥川恭伸。2年連続最下位のチームを支えるエースへの道をゆく

「7月まで奥川が“中6日”で先発することはない」

 1回に先制点を許したサンズの左中間二塁打、3回のマルテのソロアーチ、5回の糸原健斗の適時二塁打と、3失点は全て甘く入った直球を捉えられたものだった。球威が落ちてきた4回以降は、勝負球のスライダーやフォークなど変化球の割合を6割近くまで上げて大量失点を防ぐクレバーなところも見せたが、奥川の魅力の表裏両面が見えたマウンドとなった。

 奥川は登板翌日に出場選手登録を抹消され、しっかりと間隔を空けて次回先発へ調整をすることになった。小川淳司ゼネラルマネジャーは、その育成方針についてこう明かす。

「大目標は来年、先発ローテーションの一角として1年間投げ続けてくれること。今シーズンは右ひじの状態も慎重に見ながら経験を積んでいくことになる。少なくとも7月のオールスターまでは奥川が“中6日”のペースで先発するということはないと思います」

野村監督が田中将大に求めた「青さ」

 今季からヤクルトは編成部の育成組織を改革。ファームの首脳陣に加え、高津臣吾監督も奥川の状態を細かく把握しながら育成に携わっていくことになる。若き才能の成長をサポートできることは投手出身の監督としても得も言われぬ醍醐味でもあろう。

 高津監督の恩師でもある野村氏は、楽天監督時代に田中将大を導いた。そういえば2007年、ルーキーイヤーの田中の投球に対してはよく、「若さがないな」とボヤき、血気盛んな内角攻めや直球勝負といった「青さ」をあえて求めたものだ。

 当時バッテリーコーチなどをつとめた息子の野村克則(楽天育成捕手コーチ)は、「野村監督は田中に小さくまとまってほしくなかったんだと思いますね」と振り返る。18歳にして田中の宝刀・スライダーはすでに一級品だった。だからこそ、十代のうちから変化球主体の“大人びた”スタイルにとどまらぬように、という親心だったのだろう。

【次ページ】 ヤクルトファンの「宿命」となるのは

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