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ジャッカル炸裂! NZデビュー姫野和樹…「指導者にとっても自信に」野澤武史が期待する“逆算的フィードバック”とは?
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byGetty Images
posted2021/03/29 11:02
2週間の自主隔離期間を終え、ハイランダーズの一員としてスーパーラグビーのピッチに立った姫野和樹。いよいよ挑戦が始まった
アオテアロアはスピード感があり、トランジション(攻守交代)からのボールの動かし方などは、やはり見ていて面白い。攻守交代から抜け目なくスペースにボールを運んでいくニュージーランド特有の判断、コミュニケーションを吸収すればさらに伸びるのでは。NZで「当たり前」の水準を上げて日本に帰ってきてほしいですよね。
23年のW杯フランス大会は彼にとって経験、パワーを存分に発揮できる大会になるでしょう。
19年W杯の日本代表は全員がシステムで動いて小さいひずみを作っていく――判断、ワークレート、勤勉さで史上初のW杯ベスト8を達成したと思います。ただベスト4以上にはディフェンスが揃っているのに状況を打開できる選手がいる。“分かっちゃいるけど止められない”という問答無用系です。ぜひ彼には数的優位がなくても状況を打開できる選手になってほしいです。
育成にとっても大きい姫野、松島の存在
私はいま日本ラグビー協会でTID(タレント発掘・育成)マネージャーという肩書きで活動させてもらっていますが、ユース世代の先生方にとっても姫野の存在は貴重です。
姫野は高校時代から将来を期待され、日本ラグビー界として投資をしてきた選手。ユース世代の先生方は、国内の育成過程で育った姫野が世界に出ていくことで、「あの選手がこうなるのか」と逆算的なフィードバックをもらえる。また自分がやってきたことの証明にもなります。
いまクレルモン(仏国内1部の強豪)にいる日本代表の松島幸太朗に関してもそうです。「あの桐蔭学園の松島が将来こうなるのか」という物差しになる。だったらいま桐蔭学園にいるフルバックの矢崎(由高)は将来ここまで行く可能性があるよね、長い目で見たらコーチングはこうだよね、という考え方ができます。
日本で育ったフォワードがここまでやってくれたら、指導者にとっても自信にもなる。日本のユース世代の全指導者が、姫野の活躍を楽しみにしているはずです。
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姫野が新加入したハイランダーズの次戦は4月2日。相手は4年連続でタイトルに輝いている王者クルセイダーズだ。
日本ラグビーの至宝、姫野和樹のチャレンジがいよいよ本格化する。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。