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ジャッカル炸裂! NZデビュー姫野和樹…「指導者にとっても自信に」野澤武史が期待する“逆算的フィードバック”とは?
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byGetty Images
posted2021/03/29 11:02
2週間の自主隔離期間を終え、ハイランダーズの一員としてスーパーラグビーのピッチに立った姫野和樹。いよいよ挑戦が始まった
今季のハイランダーズを見てみると、今回のハリケーンズ戦を含めて負けた3試合の得点は、すべて20点以下です(第1節13得点、第3節17得点、第5節19得点)。
本当は39得点を挙げて勝利した第2節チーフス戦のような試合をしたいはずですが、得点力に貢献できるはずの先発バックローが、ハイランダーズの場合はパンチがない。
FLシャノン・フリゼルはまだ良い仕事をしていますが、FLビリー・ハーモンはどちらかといえば働き蜂タイプ。姫野と交代した先発No.8マリノ・ミカエレ・トゥウに関しては今季のワークレートはかなり低い。
その一方で、姫野はボールタッチの回数が多く、勤勉にランもするし、倒れてから起き上がりバック・イン・ゲームするスピードも速い。先発バックローの迫力不足は明らかで、献身的に動いてゲームを作ってくれる姫野のようなバックローが求められているのでは。今後の先発起用は十分ある、と見ています。
プレー時間を増やすためには?
今後はプレータイムを伸ばせるかが重要でしょう。
タイトファイブ(プロップ、フッカー、ロック)はある程度仕事が決まっていますが、バックローは比較的自由。味方のバックローの顔ぶれによって役割が変わることもあります。試合展開を読みながらプレーに強弱をつけたりもするポジションです。
そうした試合勘を掴むためには、プレータイムが必要です。後半途中から15分程度の出場では試合勘が掴みにくいし、アピールのために役割を逸脱したミスを犯すこともあります。
ハリケーンズ戦でも、登場時よりも終盤のボールキャリーの方が明らかに良かったですよね。彼本来の実力を発揮するためにもスタメンで出場したいところです。
プレータイムを伸ばすためにピッチ外で必要な要素はコミュニケーションでしょう。
ヘッドコーチのトニー・ブラウンは姫野の特長を分かっているでしょうが、他の選手からしたらまだ分からない。会社でも隣の席にいる人間が何をしているのか、何をするのかが分からなければ仕事がやりにくい。それと同じで、チームメイトが「姫野ならこのプレーをしてくれる」という認識を持っているかが重要で、そのためにピッチ外でコミュニケーションを重ねたい。そうしてチームにフィットすればプレータイムも伸びていくのではと見ています。