サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
39歳松井大輔が明かす“ベトナム電撃移籍”の真相「先生として、プロとしての振る舞いなどを伝えて欲しいと」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byサイゴンFC
posted2021/03/28 11:02
昨年12月急遽、ベトナム1部リーグサイゴンFCへ移籍した松井大輔
「チームメイトが僕をどう思っているのかはわからない(笑)。僕は年齢に関係なくいつも通りフレンドリーに接しています。これから僕が少しアドバイスしたあとに、その選手がボールを扱えたり、周りを見れるようになったり……真剣に話を聞いてくれたチームメイトが、変化していく姿を見るのはうれしい。これが教えることにはまっていくということなんだなって。僕も歳をとったなあ(笑)。
でも、将来指導者になったときに、ベトナムでの経験が生きると思っている。ずっと日本に居たら、知ることも見ることもできなかったベトナムの選手について学べるわけだから。やっぱり、現場に立ってみないとわからないことは多い。そんな経験すべてが僕の財産になると感じています。だからこそ、今、僕にできることは求められていることを一生懸命やって、評価を上げること。プラスアルファ、自分の価値を上げられたらなと」
「ベトナムへ来たことは、人生においてもプラスになる」
自分の価値を上げること――。サイゴンFCのCEOビンは1975年生まれの45歳。祖国のために尽力したいと考える若き実業家との出会いは、松井の人生にも大きなチャンスになるだろう。
「ベトナムへ来たことは、人生においてもプラスになると思う。サイゴンFCでの日々もそうだし、ビンさんのマネージメント力だったり、サイゴンFCが大きくなる過程だったり、いろんなものを見られるから。ビンさんって、日本で学んで働き、ロシアでも仕事をしていた人だからか、感覚的な部分で桁違いだなと感じることもあって……目指しているものが大きいんだよね。『最後はサイゴンやベトナムへ恩返しをしたい。自分が学んだものを還元して、ベトナム人を変えたい』って言ってた。僕にも、引退したら『ここでなんでもやってください』と。
ル・マンにいたときも、選手が毎年、何億単位の移籍金をクラブに残していくところや、そのお金でクラブハウスができたり、スタジアムが作られたりするところを見てきたけれど、ヨーロッパとアジアではまた違うだろうから。ル・マン時代とは違う関わり方ができるかもしれないのも楽しみだね」
欧州での経験は豊富な松井だが、東南アジアでの選手生活は初体験。それが彼の心を躍らせている。