もちろん、投手は良い球を投げるコンテストをしているわけではない。質の高い球を投げることを前提としながら、投手の最大にして唯一の目的は「アウトに取ること」である。どんなにフォーシームが良くても、「対打者」、「対チーム」となった時に「なるべく連続してアウトに取ること」が出来なければ良い結果は残らない。この日、ロッキーズ打線は、一回に3番ヒラードが打ったゴロを最後に強い打球が一本も前に飛ばせなかった。それどころか、低めに伸びる速球を見逃して三振に倒れたり、内野安打になりそうなぐらい弱い打球しか打てなかったのだ。この日の有原は誰がどう見たって、それをとても高い確率で達成したわけだ。

有原航平の「メジャー挑戦」はまだ始まったばかり

「彼は今、その持ち球を使ってメジャーリーグの打者をアウトにする方法を学んでいるんだよ。日本ではメジャーリーグよりもっと、コンタクトしてくる攻撃だ。こっちの打者は違う。これからそういう打者と数多く対戦し、その時には内、外角、そして緩急を使いながら彼らを苛めることになるだろう」と再びウッドワード監督。先発ローテーション入りが確実な28歳右腕について、指揮官は「成功しない理由が見当たらない」と言ったが、そんな高評価も今の有原にはあまり関係ないような気がする。

「（去年より）今年のほうがしっかり仕上げられている。今日（の好投）で開幕に向かって調子を上げていけたらなと思う」

　有原航平の「メジャー挑戦」はまだ始まったばかり。次の登板も、そのまた次の登板も、彼はゆっくりと歩いて、マウンドに上がり続けるだろう――。

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