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先発ローテーション入り確実 28歳1年目の有原航平を監督が「成功しない理由が見当たらない」と高評価するワケ
posted2021/03/20 17:02
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Getty Images
テキサス・レンジャーズの有原航平投手がダッグアウトから姿を現し、ゆっくりと歩いてマウンドに上ったのは午後1時前のことだった。
3月14日の日曜日、アリゾナ州最大の都市フェニックスから車で約40分、北西に行ったサプライズ市の野球場には、収容人員10500人の約20%の2080人―ラジオの実況中継では「パンデミック・ソールドアウト(チケット完売)」と言われていた―の観客が詰めかけていた。
初回からいきなりのピンチを迎えて
マウンドに上った有原は、試合前のブルペンでそうしたように、捕手が座ると最初にカーブを投げて腕を強く振った。緊張した面持ちはなく、堂々としているように見えたせいか、彼が初回、ロッキーズの先頭打者ライメル・テピアにボール3つを続けたのが意外だった。
何とかフルカウントまで持ち直したものの、6球目の高めの速球を叩かれて右前打を許す。次打者の左飛も変化球がやや高めに入った。3番サム・ヒラードを二ゴロ併殺に打ち取ったかに見えたが、これは打球が強かった上に守備シフトでガラ空きの場所に転がったこともあり、初回からいきなり一、三塁のピンチである。
コントロールが定まらない上に、運も味方していないとなれば、今日の試合に限ってはあまり良い結果は想像できないだろう。記者席でそんな風に考えながら眺めていて、ふとあることに気がついた。遠くに見える有原が、とても落ち着いている。キャッチャーからの球を受ける動作、マウンドの土をならす仕草、ランナーに送る視線、マウンド上で見せる佇まいのようなものが、もう何年もこの場所=メジャーリーグで活躍している投手のように見えたのだ。
結局、その日、有原が出したランナーは初回の2人だけだった。彼は相手の4番、5番を凡打に仕留めてピンチを脱すると、続く3イニングを無安打無四球、つまり打者9人を完全に抑えて4回無失点とし、オープン戦3試合目で初めて無失点に抑えた。