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「練習が嫌で脱走しました」「1日ご飯7合食べてます」廃部寸前から初の甲子園 “離島の球児”が証言するセンバツまでの2年半【大崎高校】
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKYODO
posted2021/03/18 18:23
昨年11月、九州地区大会の準々決勝で延岡学園(宮崎)に競り勝つ。センバツ有力となり試合後に喜ぶ大崎高校の選手たち
坂本 何もない方が、逆に、野球に集中できていいなと思ったので。
――清水さんの指導を受けたチームの選手はみんな太ももがぱんぱんですが、坂本君も大崎に来てだいぶ体が大きくなりましたか。
坂本 中学で野球を引退したとき、清水監督に「飯を食べて体を大きくしてこい」と言われて、そのとき、10キロ増やして72キロにしました。今は75キロぐらいですかね。
――大崎では1日7合もご飯を食べなきゃいけないんですよね。朝1合、昼2合、夜2合、間食2回で計2合と。そんなに食べられるものですか。
坂本 まあ……、なんとか。
「誰でも140キロ投げられる」は本当?
――2005年に清峰が甲子園に出場したときのエースで、古川秀一(元オリックス)という左投手がいました。彼が「清水さんに教わったら、誰でも140キロ投げられますよ」と言っていたのですが、本当ですか。
坂本 僕は中学のときのマックスが132キロぐらいで、昨年の秋で139まで出ました。
――この春で?
坂本 140ちょいは出るかな、って。
――なら、本当なのですね。
坂本 今、フォームを変えていて、球の勢いが変わってきた気がするんで。
(3)セカンド村上に聞く「1年の冬に逃げたことがある?」
――村上君も監督の怖さは、噂で聞いていたとは思うのですが、イメージと実際の差はどうでしたか。
村上 噂以上でしたね。ぜんぜん違いました。
――怖いですよね。私もベンチに座っていて、清水監督が怒っていると、自分が怒られているわけでもないのにドキドキしてしまいます。選手は萎縮してしまったりはしませんか。
村上 最初の頃はしていましたけど、僕の場合は、レベルアップして、自信がついてきてからはしなくなりました。
――監督から聞いたのですが、1年の冬、これからインターバルが始まるというときに逃げたことがあるんですよね?