JリーグPRESSBACK NUMBER
「手数料ゼロ&飲みニケーションしません」で急成長 サッカー代理人の“黒船”がJリーグのビジネス常識を破壊する?
posted2021/03/17 17:01
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Getty Images
日本サッカー界では、代理人は「選手から代理人手数料を取る」のが一般的だ。
相場は5~10%。年俸1000万円なら代理人に毎年100万円を払うといった感じだ。キャリアアップのための自己投資と見られてきた。
だが、このビジネス慣習を根底から覆す“黒船”が日本へ乗り込んできた。イギリス・ロンドンに本社を置く『CAA Base』だ(以下、『Base』)。
デル・アリ、ソン・フンミン、カルロ・アンチェロッティ監督などプレミアリーグを中心に顧客を持ち、吉田麻也、武藤嘉紀が所属する世界最大級の代理人事務所である。
「選手の手数料は0%です」
彼らは日本の常識に染まるつもりはない。『Base』の日本担当の代理人、富永雄輔(38歳)は言う。
「基本的に、ヨーロッパでは選手から代理人にコミッションは支払われません。その代わりクラブから直接コミッションを支払ってもらう。それが彼らのビジネス慣習です。
一方、日本では選手から手数料が支払われてきた。僕たちはこのローカルルールに従わず、グローバルルールを適用します。基本的に選手から支払われる手数料0%で代理人業務を行います」
選手から手数料を取って当たり前だった日本の代理人業界にとって、まさに青天の霹靂だ。ビジネスのやり方が大きく変わる可能性がある。
選手にとっては、毎年払っていた料金がタダになるのだから前のめりにならないわけがない。
現在、上述の2人に加え、シュミット・ダニエル(シント・トロイデン)、板倉滉(フローニンゲン)、齊藤未月(ルビン・カザン)、藤本寛也(ジル・ビセンテ)、西村拓真(仙台)、町田浩樹、荒木遼太郎、山田大樹(ともに鹿島)、田川亨介、内田宅哉、バングーナガンデ佳史扶(ともにFC東京)、安藤瑞季(水戸)、平川怜(松本)、半田陸(山形)、阿野真拓(東京ヴェルディ)などが所属している。
特にアンダー年代の日本代表で急拡大しており、数年後には日本代表で一大勢力になると見られている。
「飲みニケーション」はしません
覆すのは報酬の常識だけではない。彼らは日本的な「飲みニケーション」をしない。