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【センバツ】大阪桐蔭が春に負けた“6校”の共通点…16年はドラ1早川隆久が攻略、カギは技巧派サウスポー?
text by
西尾典文Norifumi Nishio
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/03/16 11:02
西谷監督の復帰以降、春夏の甲子園で一度も初戦敗退がない大阪桐蔭。強豪校がひしめくブロックに入ったが、今大会も優勝候補筆頭だ
技巧派サウスポーが苦手?
ダルビッシュは今でこそ150キロを超えるスピードを誇るが、当時は130キロ台中盤程度がアベレージで変化球を中心とした組み立てだった。ドラフト1位でプロ入りした田中もストレートの速さではなくボールの角度と縦の変化で勝負するタイプ。
また野手でプロ入りしている平沼も投球術に見応えのある右腕であり、早川も高校時代はコントロールが目立つ投手だった。プロには進んでいない葛西と藤田も当時はドラフト上位レベルの技巧派として評価がされている。
この傾向から、スピードよりも制球力とコンビネーションで抑える投手が大阪桐蔭を攻略してきた歴史が見えてくる。そして、データだけで見ればサウスポー(6人中4人)との相性が悪いという予測も立てられそうだ。
また、西谷監督の復帰以降、春夏の甲子園で一度も初戦敗退がない。さらに決勝戦にいたっては、初出場初優勝を達成した1991年夏も含めて8戦全勝となっている。対戦相手の徹底した研究に定評があり、一戦必勝で臨んできた時の大阪桐蔭を破るのはかなり難しいと言えそうだ。
今大会で該当するのは3校
大阪桐蔭が勝ち進むことを前提とした場合、このデータと同じ条件を持ち、かつ2回戦から準決勝で対戦するチームはどこか。対戦する可能性が高いとみられているのは、広島新庄・明豊・県岐阜商・市和歌山、東海大菅生・中京大中京の6校。そして、この中で実力のある技巧派左腕を揃えているのが広島新庄、県岐阜商、東海大菅生の3校となる。
広島新庄の背番号1は右腕・花田佑樹だが、背番号10の左腕・秋山恭平も1年時から主戦として活躍しており、昨年夏の甲子園交流試合も経験した実力派だ。継投策が上手くハマれば大阪桐蔭をかわせる可能性はありそうだ。
県岐阜商の野崎慎裕は1年春から経験十分のサウスポー。スピードは140キロ前後だがコーナーを投げ分ける制球力があり、安定感は申し分ない。
東海大菅生の本田峻也も面白い。クロスに踏み出して体を鋭く回転させるやや変則的なフォームながら、コンスタントに140キロを超えるスピードもあり、打者にとっては厄介なタイプだ。少し四死球が多いのは気がかりだが、走者を背負ってからの粘り強さも持ち味だ。