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長谷部誠「次が最後の1年」と言い続けて…37歳の今も現役&契約延長 もはや“悟りの境地”レベル
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2021/03/13 17:02
長谷部誠のプレーは、日々円熟している印象だ
「現役を辞めた後もサッカーは続けると思います。でも」
「サッカーの楽しみ、サッカーをする喜びというのは若い頃とは全然違う感覚があります。若い頃は単純にサッカーをすることが楽しかったけど、いまは上手くいかないとサッカーを辞めなきゃいけない、そういう高いレベルでプレーできていますから。
現役を辞めた後もサッカーは続けると思います。でも、高いレベルでプレーできるか、どうか。引退を考える年齢に近づいている中、プレッシャーがありながらも、自分の中でプレッシャーとともに楽しみとか喜びを感じているんです。プレッシャーがあるから逆に一瞬一瞬が、1日1日の練習が愛おしく感じると言うか……。日々が大切に思える。そういう部分では、若い頃とはサッカーとの向き合い方が変わってきています。皮肉なことに、終わりが見えることで、サッカーができる喜びをより噛み締めている感覚です」
研ぎ澄まされた感覚を大事にケアし、一回り以上も離れた若手選手と一緒に切磋琢磨し、ポジションを奪い合い、出場機会を勝ち取り、リーグで4位と結果も残している。そんな選手がほかにいるだろうか。
「新しい発見だらけで、楽しいですけどね」
プレッシャーを楽しむと言っても、実際にやるのは簡単ではない。
「クラブを背負っている部分がありますし、チーム内でもライバルとの競争があるので、そういうプレッシャーはあります。でも、ある意味開き直っているというか、自分の肩に勝手に乗せていた重りを取りながら、最近は気分良くプレーできているんです。経験とか落ち着きで、サッカーってこんなにうまくいくんだなって。そういう意味では、この年になっても新しい発見だらけで、楽しいですけどね」
もはや、悟りを開いてしまっているのではないかと思えてしまう。
来年のこの時期、どんなタイトルの記事が出ているのだろうか。長谷部自身は「最後のシーズンだと思って常に戦っているので」「僕の気持ちとしては次が最後の1年になると思う」と言っているが、それは、ここ数年ずっと聞いている言葉だ。
来年は38歳。さらに1年の契約延長は難しいと思いつつも、頭の片隅では「いやいや、0.01%の逆転劇もあるんじゃないのか」とさえ思ってしまう。そんな夢をみさせてくれる長谷部誠という選手は、ただただ偉大である。
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