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「東北人は耐え忍ぶメンタリティを」宮城出身の番記者が心打たれた手倉森監督の人間力【2011年のベガルタ仙台】
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byToshiya Kondo
posted2021/03/11 06:02
ホーム再開となった浦和戦。キックオフ前の晴れ渡る空とともに勝利を手にした光景はチームもサポーターも報道陣も忘れない
濃密な2年、今の営業部でもベガルタとの関係は続く
翌2012年3月、千葉はベガルタ担当を外れ、販売部へ異動となった。ブランメル時代からのサポーターで、スポーツ報道を志した千葉にとって、ベガルタを担当した2010年、2011年の2シーズンは、2年とは思えないほど濃密な期間だった。
「ベガルタのサポーターで、スポーツを報じることに興味があったけれども、入社してから記者畑ではなかった。そんな自分がJ1に復帰した2010年、震災のあった2011年と、激動の時期にベガルタを追うことができた。『希望の星になろう』と奮闘したチームに関われたのは、本当に幸せな時間だったと思います」
販売部、報道部などを渡り歩いた千葉は、2019年4月に営業部に配属された。若い頃のようにスタジアムに通い、ボランティアをする時間は取れないが、ベガルタとの関係が切れたわけではない。営業部での主な仕事は、仙台のプロスポーツチームなどの広告営業なのだ。
「実は今季のJリーグが開幕した2月26日の金曜日にも、Jリーグ開幕特集という企画を報道部と連動して発行しました。3月6日のホーム開幕戦のフロンターレ戦に向けたチアペーパーの制作にも関わっているんです」
東日本大震災から、激動のシーズンから、10年が経った。今年はベガルタにとって大事な1年になりそうな予感が、千葉にはある。
「なんといっても誠さんが監督として戻ってきてくれた。リーグ開幕戦がアウェーのサンフレッチェ広島戦で、2試合目がフロンターレ戦。何か運命めいたものを感じてしまいます。ほかでもない誠さんが、そうしたストーリーにチームや選手を乗せていくのが上手い方。難しいシーズンなのは確かでしょうが、期待してしまいます」
3月6日のホーム開幕戦を、千葉はユアテックスタジアム仙台で観戦した。コロナ禍の今、選手たちに声援を届けることはできないが、今シーズンは例年以上にスタンドからベガルタの戦いを見守ろうと思っている。
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