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セリエA監督今季6人目のクビ…“1300km自転車男”など 降格阻止を託された男たちの明暗
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2021/03/05 17:00
3月に解任となったクロトーネのストロッパ監督。今回は今季これまで監督交代に踏み切った5クラブの状況を整理し、その決断の吉凶を占う
元アズーリ指揮官が復帰したフィオレンティーナ
昨年秋に最も早く監督を変えたフィオレンティーナも、“出戻り指揮官”を迎えた口だ。
12位に停滞していたイアキーニ体制に伸び代なしと見切りをつけて、クラブは今も相思相愛のOBプランデッリ監督を呼び戻した。だが、元イタリア代表監督は苦戦している。
中位以上の戦力はあるはずなのに、11シーズンぶりにこのクラブの指揮を執るプランデッリ監督の采配は後手に回ることが多く、就任直後には降格圏ギリギリとなる17位にまで順位を落とした。
フロントはすでにイタリアーノ(スペツィア)やサッリ(前ユベントス)を来季監督候補としてリストアップしており、すんなり残留できたとしても、プランデッリ監督は今季限りでお払い箱になる可能性が高い。
苦渋の決断を下したカリアリ
「すべての恋愛が結婚という形でゴールインするとは限らない」
先月22日、ディフランチェスコ監督を解任したカリアリのジュリーニ会長は、信じた相手をクビにする辛さをこう表現した。
「中位以上を」と野心を抱いた会長は、熱烈なラブコールで招いた監督が開幕から結果を出せずに降格圏に落ちても信じ続け、挙げ句には年末から6連敗を喫した直後によもやの契約延長で信頼を示した。
しかし、カリアリの地でディフランチェスコの攻撃サッカーは花開かなかった。
18位のカリアリを預かった後任センプリーチ(前SPAL監督)は、初陣となった24節クロトーネ戦で2-0の白星を収め、幸先の良いスタートを切った。スパルを率いて臨んだセリエAでは2017-18シーズンから2季連続で残留に成功しており、地方クラブで見せる指導力には定評がある。
「様々な問題があるのは確かだが、チームはまとまっているし、今日のゲームでFWたちがゴールして勝てたことは大きい。選手リストを見ればやれるという自信が湧いてくる」
MFナインゴランやDFゴディンなど本来なら残留争いのチームにいるのは反則級の選手が揃っているのだから、新監督は軌道修正さえすれば十分に残留の勝算ありと睨んでいるのだろう。