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【引退】角居師のドバイWCに蛯名正義の凱旋門賞… 去る伯楽と名騎手が成し遂げた競馬史に残る偉業
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byAFLO
posted2021/02/27 17:00
蛯名正義騎乗のエルコンドルパサー(左)は99年の凱旋門賞で2着。世界一の座に近づいた名ジョッキーが間もなく引退する
これからも、馬には関わっていく
菊花賞のほか、オーストラリア最大のレースであるメルボルンカップを勝ったデルタブルース、日米のオークスを制したシーザリオ、ジャパンカップダートを2度勝ったカネヒキリ、マイルチャンピオンシップと香港マイルを制したハットトリック、64年ぶりに牝馬のダービー馬となったウオッカ、シーザリオの仔で、菊花賞とジャパンカップを勝ったエピファネイア、管理馬として2頭目のダービー馬となったロジャーバローズなどを育てた。JRA・GIを26勝したほか、交流GIを7勝、海外GIを5勝。定年まで14年を残してこの成績は驚異的というほかない。
これからも、引退馬の支援活動をサポートするなど、馬には関わっていくという。
角居師の師匠「マツクニ先生」こと松田国英調教師も
その角居調教師の師匠である松田国英調教師も、2月一杯で引退する。
角居調教師のほか、友道康夫調教師、高野友和調教師、そして村山明調教師が、調教助手や厩務員、騎手として松田厩舎に所属し、のちに調教師となって成功している。
「マツクニ先生」と慕われた松田調教師は、2004年にキングカメハメハで史上初めてNHKマイルカップと日本ダービーの「変則二冠」を制した。2001年にクロフネで初めて変則二冠獲りに挑み、NHKマイルカップを勝つも、ダービーは5着。翌2002年のタニノギムレットは、NHKマイルカップは3着だったが、ダービーを制した。
「マイルとクラシックディスタンス(2400m)の両方を制すると種牡馬としての価値が高まる」
そう考えてチャレンジをつづけ、変則二冠の存在と価値を広く知らしめた。
「種牡馬になる馬を育てたい」
その言葉どおり、クロフネやキンカメが種牡馬としても成功した。
管理した女傑ダイワスカーレットと、同い年のライバル・ウオッカによる、2008年の天皇賞・秋での2センチ差の激闘は、競馬史に残る名勝負であった。
ほかにも、騎手時代、カツラギエースでジャパンカップ、ヤエノムテキで皐月賞を制し、調教師として無敗のオークス馬カワカミプリンセス、ダート王のホッコータルマエなどを育てた西浦勝一調教師、女傑ジェンティルドンナ、ダートの名馬ヴァーミリアンなどを管理した石坂正調教師、桜花賞馬プリモディーネを管理した西橋豊治調教師などが定年で引退する。