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【引退】角居師のドバイWCに蛯名正義の凱旋門賞… 去る伯楽と名騎手が成し遂げた競馬史に残る偉業
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byAFLO
posted2021/02/27 17:00
蛯名正義騎乗のエルコンドルパサー(左)は99年の凱旋門賞で2着。世界一の座に近づいた名ジョッキーが間もなく引退する
JRA通算2539勝のジョッキー、蛯名正義も去り
そして、騎手界からも大物が引退する。
歴代4位のJRA通算2539勝(2月21日終了時、以下同)を挙げた蛯名正義である。2月限りで鞭を置き、調教師に転身する。
武豊と競馬学校の同期(騎手課程3期生)の51歳。1987年にデビューしてから34年間、戦いつづけてきた。
鋭い眼光にたがわず、隙のない騎乗で勝ち鞍を重ねた。
重賞初勝利は意外に遅く、デビュー6年目、1992年にラシアンゴールドで制したフェブラリーハンデだった。
GI初勝利は1996年、バブルガムフェローによる天皇賞・秋。
1999年にはエルコンドルパサーとのコンビで世界最高峰の凱旋門賞に臨み、「勝ちに等しい」とまで言われた2着となり、2010年にもナカヤマフェスタで2着。世界一の座に2度近づいた、唯一の日本人ジョッキーとなった。
その2010年にはアパパネとのコンビで牝馬三冠を制している。
2012年はフェノーメノで臨んだ日本ダービーで鼻差の2着に惜敗し、悔し涙を流した。2014年にもイスラボニータで2着。ついに「競馬の祭典」には手が届かなかった。
JRA重賞は史上6位の129勝。JRA・GIは史上7位タイの26勝。海外GIも1勝している。
大騎手の無観客の引退式を
日本を代表する名騎手である蛯名の騎乗を見られるのも今週で最後だ。
藤沢和雄厩舎のゴーフォザサミットに騎乗する28日の中山記念がラストライドとなる。
彼ほどの大騎手の引退式が無観客で行われるのは寂しいが、ユーチューブでライブ配信されるという。
名手・エビショーの雄姿を、この目に焼き付けたい。