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SNAIL RAMP竹村哲が語る“バンドマンとキックボクシングのギャップ” 「はじめは吐き気が止まらなかったけど」 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byNKB

posted2021/02/28 06:00

SNAIL RAMP竹村哲が語る“バンドマンとキックボクシングのギャップ” 「はじめは吐き気が止まらなかったけど」<Number Web> photograph by NKB

SNAIL RAMPのリーダーとして活躍した竹村哲は、NKBの敏腕マッチメーカーとなった

「はじめは吐き気が止まりませんでした」

 とはいえ、2015年12月現役引退後はここまで深くキックに携わるつもりはなかった。深みにハマッたのは2018年にNKBのマッチメーカーに就任したことがきっかけだった。

「そもそも試合を組むということをやったことはなかったので、そのやり方すらわからない。だから2回ほど断ったのですが、それでもやってくれと頼まれたので、3回目に引き受けてしまいました」

 当初は産みの苦しみの連続だったという。

「初めてやったときには、全然組めなくて吐き気が止まりませんでした」

 それから3年、この日の対戦カードを見る限り、竹村は敏腕マッチメーカーへと成長を遂げているように見えた。メインイベントでは関西キックが誇る高橋3兄弟の次男・高橋亮がWBCムエタイ日本統一王者の山浦俊一を迎え撃った。果たして高橋は切れ味鋭いハイキックで山浦をKO。メインイベンターとしての重責を果たした。終わり良ければすべて良し。それが興行というものだ。

 逆にNKB側の選手が負けになったとしても、竹村はむくれたりしない。「キックは興行だけど、競技でもある」という信念があるからだ。「もちろんNKBの選手に育ってほしいという思いはあるけど、そのためには団体にプロテクトされるのではなく、切磋琢磨したうえでそうなってほしい」

“女蹴さそり”が入場すると空気は一変した

 セミファイナルでは、昨年那須川天心がホームとして活動するRISEで大いに名を売ったsasoriが凱旋。ミネルヴァ・ライトフライ級王座のタイトル防衛戦に臨んだ。

 彼女のニックネームは女蹴さそり。かつて梶芽衣子主演で1970年代にヒットしたシリーズ映画『女囚さそり』をモチーフにした、ミステリアスな女子キックボクサーだ。

 梶が歌う主題歌『怨み節』が入場テーマ曲として流れると、場内の空気は一変した。ムードはまさにザッツ昭和。竹村は「やっぱり注目度が違う」とややメジャーになったsasoriの知名度に目を見張る。「彼女目当てのお客さんも多いと感じました」

【次ページ】 覆面レスラー以上にミステリアスなsasori

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