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SNAIL RAMP竹村哲が語る“バンドマンとキックボクシングのギャップ” 「はじめは吐き気が止まらなかったけど」 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byNKB

posted2021/02/28 06:00

SNAIL RAMP竹村哲が語る“バンドマンとキックボクシングのギャップ” 「はじめは吐き気が止まらなかったけど」<Number Web> photograph by NKB

SNAIL RAMPのリーダーとして活躍した竹村哲は、NKBの敏腕マッチメーカーとなった

覆面レスラー以上にミステリアスなsasori

 しかし、試合の方は挑戦者で練習場所こそ違えど同門の喜多村美紀の奮闘に大苦戦。引き分けで薄氷の王座防衛に成功した。竹村が関係者から「実はsasoriはケガをしていた」と打ち明けられたのは試合が終わってからのことだった。

「sasoriは周囲に『ケガのことは絶対誰にも言うな』と箝口令を敷いていた。ほとんど蹴らなかったのはそのせいでしょう」

 筆者は「自分を捨てた男に復讐するために女蹴さそりになった」というエピソードはキャラを作るためのものと勝手に解釈していたが、竹村は「必ずしもそうではないのではないか」と分析する。

「もちろんキャラの部分もあれば、素の部分もある。実際sasoriの実像は誰にも見えてこないじゃないですか。聞いたとしても、彼女は言葉を濁す。だったらこっちも『聞いたらいけないんだ』と遠慮してしまう」

 誰にだって隠したい過去はある。覆面レスラー以上にミステリアスなsasoriのキャラは、どんなキャラでも受け入れてもらえそうな自由な空気が漂う現在のNKBだからこそ生まれてきたのではないか。

「スポンサー募集中と書いておいてもらえますか」

 とはいえ、団体としての台所事情は苦しい。歴史こそあれど、興行にかけられる予算は限られているので大会場でビッグマッチなど打てるわけではない。大会の方は“格闘技の聖地”後楽園ホールでの定期戦を続けていくのが精一杯だ。

 それでも、アイディアだけは天井知らずに浮かび上がる。例えば、先日NKBのSNSに「重大発表のお知らせ」という告知があった。何かと思い慌ててそのURLをクリックしてみると、してやられたと思わざるをえなかった。そこには「恵方巻き、食べた?」という文言しかなかったのだ。

 竹村は、これからもこの手の仕掛けをどんどん出していきたいと目論む。

「キックという競技は割とカッコいいというイメージがある。でも、ちょっとしたおかしさみたいなのはあっていいんじゃないかと思うんですよ。これまでのNKBは真逆の硬派なイメージだったので、そういう面を積極的に見せていくのもいいんじゃないかと。あっ、でもお金がないとできないこともあるので、スポンサー募集中と書いておいてもらえますか。お願いします」

【次ページ】 興業の日は息つく暇もない

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高橋亮

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