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“700億円契約”をリークされたメッシ 経営危機バルサを「破滅させる」と報じられたタイミングの怪しさ
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2021/02/09 17:00
契約問題に揺れるメッシとバルサだが、ピッチ内ではリーグ6連勝と好調だ
このスクープの裏ではメッシをバルサから引き離したい誰かが暗躍したと見られている。今夏の契約延長(仮に両者が求めた場合)を許さない風潮がソシオの間で生じることを望んだのだろう。
元選手も経済評論家も報酬の正当性を訴え
しかし、メッシの正しい価値を知る人たちは報酬の正当性を訴えている。
元代表GKのカニサレスはテレビ番組で断言した。
「偉大な選手はクラブを破滅させたりはしない。クラブを滅ぼすのは凡庸な選手や箸にも棒にもかからない選手を連れてくる役員たちだ」
スポーツ業界に関わる人たちのためのコミュニティサイト『2Playbook』を主宰する、スポーツ経済の専門家マルク・メンチェンはメッシを「最も収益性の高い投資先のひとつ」とし、メッシ1人のおかげでバルサは毎年2億5000万から3億ユーロ(約320~380億円)を得てきたと指摘した。
スポンサー契約を高額で結べるのも、好条件のプレシーズンを打診されるのも、肖像使用料がどんどん入ってくるのも、メッシがいるからこそ、というわけだ。
バルトメウ前会長も「正当な額」と話す
当事者であるバルトメウ前会長もこう語っている。
「選手としても商業的理由からもレオ(メッシ)は正当な額をもらっている。新型コロナウイルスがなかったら、バルサはあの額を問題なく払うことができる」
一方、以下は2部ラスパルマスのラミレス会長が『マルカ』紙のラジオ番組に出演した際のコメントだ。
「確かに大金だが、メッシはこれまでバルサに多くのものをもたらしてきた。スペインの他クラブに対しても同様で、もし彼がリーガにいなかったら、我々に現在の放映権収入はなかっただろう。実際、多くのクラブが放映権収入を頼りにしている。加えて、メッシはスペインに多額の税金を納めてもいる。彼の契約内容は多角的に見るべきだ」
『エル・ムンド』紙が発売された翌日、アルゼンチンの『オレ』紙が同紙を模した一面を作り、その見出しを差し替えた。