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ドラフト1位の3年目・DeNA上茶谷大河が振り返る“黄金の1カ月”「あのピッチングを1年間通せれば…」
posted2021/01/30 17:02
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
KYODO
コーナーに吸い込まれるストレート、鋭く変化する多彩なカットボール。快投ともいえるピッチングに手応えを感じていた。目指す方向は間違っていない。あとはこれをいかに1年間、継続させることができるのか――。
横浜DeNAベイスターズの上茶谷大河は、来るべき2021年シーズンに向け、深く考えを巡らせ今日もブルペンに立っている。
プロ2年目の昨シーズン、先発の一角であった上茶谷は右肘の炎症で出遅れてしまう。11試合に登板し2勝3敗、防御率は4.12。ルーキーイヤーである一昨年に7勝を挙げたことを考えれば決して芳しい成績ではなかったが、上茶谷は「数字的には悪くなっているけど、自分のなかでは前年より内容は全然良かったと思っているんです」と自信を持って語っている。
この言葉の裏付けとなるピッチング内容は後述するとして、球団もまた上茶谷に高い可能性を見出しており、昨年末の契約更改では減俸することなく現状維持(推定金額4300万円)を提示している。
「意図がボールに感じられないピッチングだった」
出だしは決して順調ではなかった。故障が癒え7月24日に一軍に昇格。広島戦でシーズン初先発をするが6回4失点という内容だった。悪くはないが決して良くもない茫洋としたピッチング。その後、上茶谷は2試合でいずれもピリッとしない投球を披露し8月8日に登録抹消されてしまう。
怪我明けで焦りがあったというが、あきらかに球威は出力不足であり変化球には切れがなかった。
「ただ投げているというか、あの3試合はどうすればいいのか考えて投げることができませんでしたね……」
上茶谷は正直に吐露する。意図がボールに感じられないピッチングだった、と。
「投げては打たれるの繰り返し。とにかく抑えなくてはという気持ちばかりで、打たれてしまう原因を深く突き詰められずにいました。抑える上での裏付けみたいなものができていなかったんです」
SNSのフォロワーに自ら質問も
ファームに行った上茶谷はあらためて考え直し、それを実戦へと落とし込んでいく。フォームを修正し、甘かった変化球を微調整した。コーチにアドバイスを求めることはもちろん、貪欲な上茶谷はSNSを活用し、ピッチングスキルに造詣の深いフォロー/フォロワーに自ら質問をするなど解決の糸口を探した。結果、有意義な意見が集まり、自身の投球に反映させていったという。