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ドラフト1位の3年目・DeNA上茶谷大河が振り返る“黄金の1カ月”「あのピッチングを1年間通せれば…」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2021/01/30 17:02
昨年9月23日の阪神戦では2度目の完封。好不調の波が激しいシーズンではあったが、たしかな成長の手応えを感じている
「今のままだと変化球はカット頼りになってしまうので、ツーシームなどシュート系の“対”になるボールを習得しようとしています。参考にしているのは大貫(晋一)さん。昨年も試行錯誤しながらブルペンで投げていたんですが難しくて、改めて直球のリリースと同じく大貫さんに話を訊いたんです。上手く使えるようになれば調子の良し悪しにかかわらず幅も広がり、もう少し投げやすくなるのかなって」
ただ、変化球ばかりに頼るつもりはない。やはり肝心要となるボールは言うまでもなくストレート。上茶谷は昨シーズン、真っすぐのアベレージが上がったことを実感し、それが9月の好投に繋がった1つの要因だと考えている。
「やっぱり前年との大きな違いはそこだったと思います。感触が確実に良くなっていますし、仮に変化球中心になってしまうと軌道が緩みがちになってしまうので、やはり力強い真っすぐは必要になります。それができれば必然的に1年間しっかりと投げられると思うんですよ」
データ的にもシュート成分が多かったストレートは昨年、理想的なスピンに近づいていることがわかっている。
勝負の3年目。目指すは“エース格”の活躍
DeNAの先発陣を見れば、昨年手術をした今永昇太と東克樹は開幕には間に合わず、井納翔一はFA移籍し、また外国勢は来日が遅れることもあり不透明な部分が多い。そこで上茶谷に掛かる期待は必然的に大きくなる。果たしてあの“黄金の1カ月”をアップデートして、シーズンを通して継続することはできるのか。
勝負の3年目。目指すはエース格の活躍。開幕に向け楽しみですか、と尋ねると、上茶谷は笑顔を見せてくれた。
「結構、楽しみな部分はありますね」
明るくユーモアたっぷりなムードメーカーである上茶谷が1年間ローテーションを守り切ることができれば、三浦大輔新監督率いる新生DeNAは、おのずと盛り上がることになるだろう。