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田中将大「比べられても仕方ない。宿命だと」 プロ初の斎藤佑樹戦で完投勝利も…9回2死、自分に怒ったワケ
text by
間淳Jun Aida
photograph byJIJI PRESS
posted2021/01/29 17:02
斎藤佑樹(左)とのプロ初の投げ合いで、田中将大は圧倒的な投球内容を見せた
「あの大会は斎藤が最高の投手だった。それは間違いなく言えること」
比べられるのは、宿命だと思っている
そして、こう続けた。
「斎藤と比べられても仕方ない。宿命だと思っている」
高校最後の夏は斎藤の方が上だと認める。でも、今は違う。田中は結果で証明しようとしていた。
先発投手にとって鬼門と言われる立ち上がり。田中は先頭のスケールズを空振り三振に斬るなど、日本ハムの上位打線3人をわずか10球で片づける。一方の斎藤は連打を許し、初回から1アウト一塁、三塁のピンチを背負う。続く、4番の山崎武司に対しては3球連続ボール。カウントを不利にすると、4球目のストレートをライトへ運ばれ、犠牲フライで先制点を許した。
勝つのは当然。完封しか見ていなかった
その後は互いにスコアボードにゼロを並べ、迎えた6回裏。斎藤は2アウト二塁で、楽天のガルシアにタイムリーを許す。これ以上の失点は許されない状況で、続くバッターは中村真人。高めに浮いた球をとらえられ、スリーベース。嶋基宏にもタイムリーを浴び、3連打で3失点。勝負所で踏ん張ることができなかった。
援護をもらった直後の大切なイニング。田中はギアを上げる。この回先頭の5番・杉谷拳士をセカンドゴロに打ち取ると、6番・中田翔、7番・ホフパワーを連続三振に仕留めた。田中は表情1つ変えずにベンチへ戻る。すでに、この試合の勝敗は見えていた。
勝つのは当然。完封しか見ていなかった。