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プレミアの“消えた天才”たちの今 素行不良でマンU→渡り鳥人生、計4年離脱した“ガラスの足首”…
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2021/01/23 17:02
モリソン(左)とウィルシャーは10代の頃に受けた期待からすると、遠く離れたキャリアを歩んでいる
“glass ankles(ガラスの足首)” ――現地ではそういわれるほど、特に足首の負傷に悩まされ続けた。
遍歴の始まりは2011年7月、NYレッドブルズとのプレシーズンマッチで右足首を負傷したことだ。これにより11-12シーズンは全試合欠場の憂き目にあった。
W杯メンバー入り、ベンゲルも信じた才能
復帰した12-13シーズンからは背番号10を背負い、小さな負傷離脱を繰り返しながらもレギュラーとしてプレー。2014年にはW杯ブラジル大会のイングランド代表メンバーに選出された。
ただ15-16シーズンは練習中に腓骨を骨折しわずか3試合の出場にとどまると、かねてから度々スクープされていた喫煙スキャンダルなど、私生活の問題も浮上。ベンゲルは彼に信頼を寄せる一方で「出場機会を保証できない」と、翌シーズン開幕直後にボーンマスへとローンさせることにした。
ボーンマスではシーズン最終盤の第33節トッテナム戦で腓骨を骨折するまで大きな怪我もなく、アーセナル復帰後の17-18シーズンは1度も負傷することなく公式戦38試合に出場。怪我に悩まされるサッカー人生を終えたかに思われたが――。
アーセナルとの契約満了により2018年夏に加入したウェストハムで負傷癖が再発。昨年10月に契約解除するまでの2年あまりで、公式戦は19試合しか出場していない。
“負傷箇所別の離脱期間”を調べると
ドイツ移籍情報サイト『transfermarkt』のデータをもとに、ウィルシャーの負傷離脱日数と負傷が原因で出場できなかった試合数を負傷箇所別にまとめてみた。それぞれ、負傷箇所:総離脱日数/総離脱試合数だ。
足首:569日/102試合
腓骨:359日/48試合
股関節:221日/22試合
膝:136日/6試合
かかと:104日/19試合
左足骨:57日/11試合
計:1446日/208試合
これまで、ウィルシャーはクラブチームではキャリア通算256試合の公式戦に出場している。こうしてみると、それに匹敵する数を負傷欠場しているのだ。そのほぼ半数は足首の負傷によるもので、ここに“glass ankles”と呼ばれる所以がある。