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香川、槙野、柏木…「あいつらに追いつくために」 調子乗り世代・柳川雅樹が大学サッカー界で快進撃
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2021/01/22 17:00
2019年から甲南大学で監督を務める柳川雅樹。「調子乗り世代」の1人としてU-20W杯を戦った
取材の中で何度も口にした“あいつら”。柳川が「めちゃくちゃ仲が良くて、チームで一体感を持って戦えていた。代表活動は濃密で本当に充実していた」と語るように、10年以上経った今でも色褪せない「調子乗り世代」の絆。
柳川は現役引退を決めた時、グループLINEに感謝の思いを長文で送ったという。すると、柏木や槙野などから「真面目か!」と一斉に突っ込まれた。“あいつら”らしい返信だった。
今回、ベスト8に入ったことでメッセージは届いたのか。
「来てないですね。でも当然ですよ(笑)。まだ現役でプレーしている選手が多いし、『大学サッカーで全国ベスト8になったくらいで、なんやねん』という感じだと思う。僕もそう思うし、このぐらいでメッセージなんか届くはずもない」
無言の叱咤激励――柳川はそう受け止めている。
iPadに取り込む香川の『情熱大陸』
また取材の最後には、絆を感じさせるエピソードをもう1つ教えてくれた。
「真司が出演した『情熱大陸』や『アスリートの魂』とか、あとウッチーや槙野、モリゲ(森重)がテレビで特集された映像をiPadに取り込んで見ています。これは現役時代からずっと。怪我をしたり、スタメンから外されている時に見て『お前は何しとんねん』と画面に反射して映る自分の顔に問いかける。それは今も変わりませんよ」
調子乗り世代も30代半ばを迎え、過渡期に差し掛かってきた。
香川は新しい所属先を求めて海外で奮闘を続ける。槙野や柏木らもまだまだ各クラブの中心としてプレーを続けているし、太田や田中亜土夢、長谷川悠は異国の地で居場所を見つけた。一方で、内田のように潔く現役を退いた者もいれば、中盤の底で奮闘していたイケメン青山隼は俳優として活動するなど華麗なる転身を遂げた者もいる。
それぞれがそれぞれの道を歩んでいる。柳川もまた、その1人だ。
「みんなを純粋に応援しています。僕も将来的にはJ1で監督をやるという明確な目標がある。今はそれに向かって学生と真剣に向き合い、妥協なく取り組んでいきたい。もう後悔はしたくありませんから」
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