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「育成レベルじゃない」他球団編成担当も驚いた“カープの秘密兵器” ドミニカ出身25歳の193センチ右腕って?
text by
前原淳Jun Maehara
posted2021/01/19 17:30
二軍で5番手として登板するコルニエル
コンスタントに150キロ前後を計測する直球は最速154キロ。スピード以上に力強さを感じさせる。変化球はカーブ、スライダー、スプリットを操り、不利なカウントからでも投げきれる精度。制球も安定しており、自滅から崩れるタイプには見えない。
フェニックス・リーグで監督代行を務めた東出輝裕二軍打撃コーチは配置転換が奏功したと感じている。
「短いイニングでは力んでいたところが見えたけど、先発になってある程度長いこと回を投げる気持ちがいい意味で力を抜く感覚を覚えるきっかけになったのかもしれない。いい意味で力が抜けたことで、制球が安定した」
一軍コーチは「中日のマルティネスくらいになる」
フェニックス・リーグから先発として投げ始めたばかり。初先発となった11月12日ヤクルト戦も当初は2回を目処にしていたが、7回まで投げ続けた。永川勝浩投手コーチ(今季から一軍担当)は苦笑いしながら振り返る。
「(投球内容がある程度)良かったから行けるところまで、と思って投げさせたら7回まで投げてしまった。完投もできそうなくらいだったけど、(フェニックスリーグの位置付けとして)他の投手を投げさせないといけないしね」
予想以上の内容が、7回1失点という好結果をもたらした。
ベンチでなく、スタンドからは感嘆の声が漏れ聞こえてきた。
「これは育成レベルじゃないぞ」
「支配下選手になるかならないか、ではなく、開幕ローテに入ってくるんじゃないか」
視察した各球団の編成担当は目を丸くしながらメモをとっていた。結果、コルニエルはフェニックスリーグ登板3試合で以下のような好成績を残した。
フェニックス・リーグ最終登板となったDeNA戦は、視察中だった佐々岡真司監督の前での登板だった。2試合よりも力みが見られたものの、「育成選手ではありますけど、まずは一軍の春キャンプで見てみたい気持ちはある。まだ伸びるとも思う」と、指揮官にそう決断させるものを示した。
コルニエルを知り、同じ一軍キャンプに臨む永川投手コーチは「先発も中(継ぎ)もどっちでもできる。中日の(R・)マルティネスくらいになる期待は持てる」と、昨年21セーブの助っ人級の可能性を感じている。