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冨安健洋、セリエAでボール奪取&クリア1位! 名DFも驚く“攻守の完璧さ”と本人が語った予測力の秘訣
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2021/01/20 06:00
20代前半とは思えぬ風格を漂わせる冨安健洋。元イタリア代表DFも絶賛しているほどだ
攻め込まれる頻度の高い地方クラブの選手に偏りがちな数字とはいえ、優れたDFの指標である同ランキングは2位にローマのイバニェス(167回)、3位にフィオレンティーナのミレンコビッチ(157回)、さらに6位(141回)には僚友のベテランCBダニーロが続く。
名だたる同業者たちを押しのけてランクトップに立つ冨安は、攻撃面でも長足の進歩を遂げている。
第16節ウディネーゼ戦(2-2)では19分、FKに合わせて高い打点のヘディング弾を突き刺し、先制点を奪った。
アタランタ戦でのゴールはFW顔負け
昨年のクリスマス前、第14節アタランタ戦(2-2)で決めたゴールは鮮やかの一言だ。2点をリードされた劣勢の73分、中盤中央でボールを受けた冨安は、右サイドのFWオルソリーニに一旦預けて自らは一気に前線へ。折り返しを受けゴール前でGKと1対1になると、冷静に体を浮かしながら右足で流し込んだ。
ボールを受けてからわずか9秒で決めたゴールは、本職ストライカーもかくやの一撃。まさにお手本のようなゴールで反撃の口火を切った冨安は、クラブHPのファン投票によるマン・オブ・ザ・マッチにも選ばれた。
右SBとして起用された1年目の昨季が“攻撃の起点”止まりだったとしたら、CB起用がメインの今季はフィニッシュにも積極的に絡んでいる。
公式戦全20試合に出場した唯一の選手
そして何より冨安は、今季チームで唯一ここまで全20試合(セリエA=18試合+コッパイタリア=2試合)にフル出場しているタフネス・プレーヤーなのだ。
FWバロウとMFソリアーノも全20試合に出場しているが、途中交代歴のある彼らは冨安の総出場時間1830分には及ばない。
「とんでもなくすごいな、奴は」
ベローナ戦後、中継番組の試合後インタビューに応じたボローニャのミハイロビッチ監督は、やれやれといった体で認めた。