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【CL・Rマドリー戦は?】 “奇跡の地方クラブ” アタランタの岐路 反逆事件を起こした主将をスパッと切って…
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2021/01/19 06:00
いざこざが起きたガスペリーニ監督率いるアタランタだが、ゴメスを戦力外としたことで再び結束なるか
ユベントス戦の後半からゴメスが途中出場したときにも、先発してキャプテンマークを巻いていたフロイラーは、規則違反にもかかわらず躊躇なくそれをゴメスへ渡した。
騒動の間、選手たちは口をつぐんだ。それぞれが1人のプロとして指揮官ガスペリーニの判断を尊重しながら、彼らはそれでも夢のような数年間をともに戦ったゴメスへの憐憫の情を抱えつつ、今後のシーズンを戦うのだろう。
会社組織として整備された列強クラブのように
また、アタランタのクラブ組織としての見事な振る舞いも印象に残った。
地方クラブにありがちな情頼みの優柔不断さはなく、組織としての優先基準を明確にして功労者ゴメスですら潔くスパッと切った。醜聞を最小限に止め、次善策を追求した。
その徹底ぶりは、プロビンチャーレというよりむしろ会社組織として整備された欧州列強クラブのようにも見えた。
選手が成長するのなら、指導者とクラブも成長する。
ゴメス抜きでレアル・マドリーに勝てるか
ゴメス抜きのチームは、年明け初戦の第15節サッスオーロ戦に5-1で大勝した。2月に再開するCLの決勝トーナメントでは、欧州サッカー界の巨人レアル・マドリーとの胸躍るカードが控えている。
「ゴメス反逆事件」を通して、アタランタは新たなステージに上った。2021年の彼らの戦いぶりに注目したい。