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【箱根駅伝】駒大“大逆転”のウラ側…コーチの証言「大八木のゲキは選手への『愛』なんです」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byJMPA
posted2021/01/15 17:02
10区で2位の駒大・石川拓慎(3年)が創価大・小野寺勇樹(3年)を振り切った
大八木監督は当日変更で3人の4年生、加藤淳、伊東颯汰、主将の神戸駿介を外したが、それは苦渋の決断だった。しかし、勝負師は情を排除し、下級生を起用して優勝したことで、将来に向けての基盤はさらに強固になった。
今回の取材を通じて、大八木監督がいろいろな顔を持つ人物だということは、藤田コーチの話から十分に伝わってきた。
最後に、1017号の記事のタイトルに「愛」の文字が入ったのは、藤田コーチから得た言葉が反映されていることを紹介したい。
11月23日に行われた学連記録挑戦会で、大八木監督はスタンドからの応援を自粛するように言われていたにもかかわらず、
「ここだ、ここ。粘らなきゃ」
など、駒大の選手を叱咤激励するのをやめなかった。そのことについて、藤田コーチはこう話してくれた。
「あれは大八木の、学生に対する『愛』なので。もちろん、声を出すのがいい、悪いという議論はあります。でも、大八木の熱意が黙っていることを許さないんだと思います」
私は文章に「愛」という言葉を入れた。
そして、タイトルを決めるデスクも、「愛」を採用した。
今季、箱根駅伝について話を聞いた中で、最高のキラーワードだった。