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【引退】早熟の天才・前田俊介はなぜトリニータで輝けたのか “美しすぎるボレー”など超絶テクニックと、ある変化
text by
柚野真也Shinya Yuno
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/01/17 11:01
「前俊をあきらめない」。Jリーグ好きの“合言葉”になるほど、前田俊介はロマンあふれる天才肌のアタッカーだった
前田が輝きを取り戻したのは、田坂監督の配置転換を受け入れる素直さがあった。
これまで幾多の監督の下でプレーし、自分のスタイルを曲げなかった男は、まずは話を聞き、そして自分に合うかどうか判断した結果、田坂体制下で開花した。その年の前田はハードなインターバル走でトップ集団を走り、チームの企画したイベントにも積極的に参加していた。
家族とサッカーを愛し続けたマエシュン
恥ずかしがり屋で不器用な男のため無愛想と思われがちだが、子ども参加型のイベントでは満面の笑みではしゃいでくれた。根っからの子ども好きで、練習後は誰よりも帰宅が早かった。家族を愛し、サッカーを愛し、チームの勝利に貪欲だった。
大分から移籍後の札幌、鳥取、沖縄と渡り歩いた9年も、前田がゴールを決めたと聞けば配信動画を追ったものだ。16年に及んだプロ生活に終止符を打ち、沖縄SVトップチームのコーチとして第2の人生を歩む。
本当にお疲れさまでした。あの芸術的なボレー、もっと観たかったなぁ。