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【引退】早熟の天才・前田俊介はなぜトリニータで輝けたのか “美しすぎるボレー”など超絶テクニックと、ある変化 

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柚野真也

柚野真也Shinya Yuno

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photograph byJ.LEAGUE

posted2021/01/17 11:01

【引退】早熟の天才・前田俊介はなぜトリニータで輝けたのか  “美しすぎるボレー”など超絶テクニックと、ある変化<Number Web> photograph by J.LEAGUE

「前俊をあきらめない」。Jリーグ好きの“合言葉”になるほど、前田俊介はロマンあふれる天才肌のアタッカーだった

 足下でボールをもらって前を向けば怖い存在だが、献身的な守備やオフ・ザ・ボールの動きでチームに貢献することは少ない。それまでの前田評はこのようになる。天才肌であるがゆえに自らのスタイルを変えられないでいたのだろう。

 そこで前田は、シーズン途中に得点力に悩む大分の起爆剤として期限付き移籍で加入した。その2007年6月から、2010年の途中にFC東京に期限付きで移籍し、翌年復帰した2011年までの大分時代の前田伝説をここに記したい。

5年で87試合14得点、12ゴールが敵地で

 前田俊介は、記録より、記憶に残る選手だ――。

 大分には5年在籍して87試合で14得点、FWとしては全くもの足りない成績であった。ただ、14得点のうち12得点がアウェイゴールと特殊だった。リーグ戦では劇的なドラマを生み出すアウェイゴール方式はないが、サポーターにとってアウェイでの得点は格別だった。いつもとは異なる雰囲気のスタジアムでの一撃は心強く、サポーターは共鳴した。

大分サポが語り継ぐ“2つのゴラッソ”

 それだけではない。前田のゴールは華麗にして劇的なゴールが多かった。大分サポーターの間でも今も語り種になっている代表的なゴールがふたつある。

 ひとつは、2007年の第31節の大宮戦。J1残留争いを強いられた両チームの終始張りつめた試合で、終了間際の88分に途中出場の前田が逆転のボレーシュートが決めた。この試合に勝った大分は残留を決定付け、前田自身も大一番に強い勝負師と印象づけた。

 ふたつ目は、2011年の第7節FC東京戦。9試合負けなしで首位を独走するチームに土をつけた一戦である。前半終了間際に、右サイドのクロスに代表で頭角を現していた森重真人を背負いながら胸トラップでボールを浮かせ、素早く反転し左足を振り抜いた。そのセンスの高さを象徴する“美しすぎるボレー”は、前田の代表的なゴールとなった。

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