フランス・フットボール通信BACK NUMBER
名将アンチェロッティが体重100kg超のロナウドから学んだこと「彼は走らなかったが2得点を決めた」
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph byJan Kruger/Getty Images/AFP
posted2021/01/16 17:01
エバートン監督就任で、8年ぶりにプレミアリーグ復帰を果たしたカルロ・アンチェロッティ
アンチェロッティ 私の人生を振り返ると、リバプールとは少なからぬ因縁がある。最初は選手として対戦した1984年(5月30日、ローマ。リバプール対ASローマ)のチャンピオンズカップ決勝(ホームながらアウェー扱いのローマとリバプールの戦いは、互いに一歩も譲らず1対1のまま延長戦に突入し、PK戦の結果4対2でリバプールが勝利。アンチェロッティ自身はケガにより欠場)だった。次がミランの監督として戦った2005年イスタンブールでのCL決勝(前半3対0とリードしたミランは後半同点に追いつかれ、延長戦に突入した)。このときもPK戦の末に敗れたが、2年後のアテネの決勝(2007年5月23日)ではフィリッポ・インザーギの2ゴール(2対1)でリバプールを破った。
たしかにリバプールとエバートンはライバル関係にあるが、リバプールのサポーターは私に敬意を払っていると思う。エバートンのサポーターも今季はクラブが順調なスタートを切り、リバプールに十分に対抗していることに満足しているだろう。
――街中で呼び止められることはありますか?
アンチェロッティ ないね。ここでは私生活は尊重されている。挨拶ぐらいはするけど、それ以上になることはない。
――こちらに来てからユルゲン・クロップとは会いましたか?
アンチェロッティ ああ、ピッチの上でね(笑)。
――そうではなくてプライベートでは……。
アンチェロッティ ユルゲンは友人の1人で話はよくする。素晴らしい監督でもある。でも試合以外で会うことはないし、昨季は特に対戦の機会がたくさんあった。ナポリで2019年8月に親善試合で対戦したのに続きCLでも2度戦った。エバートンではFAカップで1度、リーグでも1度対戦した。1年のうちに5試合だ。これだけ頻繁なら、何もわざわざレストランで会う必要もないだろう(笑)。
――リバプールにはいい店がありますか?
アンチェロッティ 想像できないかも知れないが、ここにはイタリアンの美味い店がいくつもあるよ。
コーチでもある息子「そのために監督に就いたと言われたが…」
――ロックダウンの間は何をしていましたか?
アンチェロッティ 家でじっとしていた。ただ、プロトコルで許容されていたから日に1度は海辺に散歩に出かけたり、自転車をこいだりした。しかし世界と人々の関係がこれだけ変わってしまったのはかなり変な感じだ。サッカーもいまだに無観客で……、こんなのは生活とはいえない。サッカーは人々のものであり、プレーは人々の心に訴えかけるものであるからだ。ただ、そうは言っても、何よりも健康が大事ではあるが……。
――中断期間中もサッカーのことを考えていましたか?
アンチェロッティ 正直に言って考えなかった。選手たちとの日々のやり取りはスタッフに任せて、私は休息に専念した。だから再開のときにはとてもフレッシュな状態で臨めた。
――息子のダヴィドもあなたのアシスタントですが、どんな風に働いているのでしょうか?