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羽生結弦「経験を使えている」小平奈緒「勇気をいただいた」 頂点に立った尊敬しあう2人の共通項とは
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byJMPA
posted2021/01/07 17:01
羽生結弦と小平奈緒、世界の頂点に立った2人は高次元で共鳴する
「自分だったら乗り越えられる自信はある」
全日本選手権で悔しい思いを味わうことになった小平はこのように言った。
「競技をしている中で困難な状況は何度か乗り越えてきている。苦労はあっても、目を背けたら生きている感じもしない。自分だったら乗り越えられるだろうという自信はある。乗り越えてみたいと思っている」
一方、さまざまな葛藤を抱えながら全日本選手権の舞台に立った羽生は、そこで湧き出た思いをこのように表現した。
「スケートじゃないと、自分は感情を出せない。全ての感情を出し切ることができない。そう思った」
氷を介して共鳴する高次元スケーターは、それぞれが必要なときに互いに鏡となり、鑑となる。そうすることで、葛藤の先にある一段高いところに行くための答えを、自分自身で見つけている。そこにあるのは、おもねる必要のない芯の強さ。だからさらなる高みに到達できるのだろう。