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武尊vs那須川天心は実現なるか 「自分より強いって言われてるヤツがいるのが許せない」 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2021/01/06 17:02

武尊vs那須川天心は実現なるか 「自分より強いって言われてるヤツがいるのが許せない」<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

この5年間熱望され続けている那須川天心と武尊の試合は、果たして実現するのだろうか

自分より強いって言われてるヤツがいるのが

 RIZINの会場で、対戦アピールを受けた当時のことをあらためて聞いてみた。やはりその時から闘いたいという気持ちは強かったのか、と。武尊は答えた。

「もちろん。格闘家ならみんな分かると思うんですけど、自分より強いって言われてるヤツがいるのが許せないんですよ」

 心ない人間から「逃げるな」といった言葉をぶつけられたこともある。しかしこれが、偽らざるファイターの気持ちなのだ。彼は一昨年の時点で「来年(2020年)、実現できなければ引退する」と言い、たくさんの関係者と相談してきたそうだ。

 コロナ禍もあって2020年の対戦実現はならなかったが、その最後の日に大きな一歩を踏み出した。武尊vs那須川は“大人の事情”に阻まれてきたわけだが、しかし事態を前進させようとした大人たちもいた。

 水面下でさまざまな動きがあり、それが急転直下「武尊、RIZIN来場」につながった。バックステージにはK-1、RISEを中継するABEMAのカメラも入っており、両選手にインタビューしている。誰かが主導権を握っているという話ではなく、それこそ「みんな」で話を進める必要があるのだろう。

 一時は「やらないんじゃないですか」と言っていたことがある那須川も、武尊の実力を認めていることに変わりはない。インタビュースペースでは「決まったら全然やります」。ただ那須川も武尊も「まずは次の試合」と口を揃えた。

武尊も天心も、次戦は強敵と対戦する

 武尊は1月24日のK-1(国立代々木競技場第一体育館)でスーパー・フェザー級王座の防衛戦が決まっている。那須川は2月28日、RISE横浜アリーナ大会のメインに出場。それぞれの次戦をクリアしなければ、話は前に進まない。目の前の相手以上に考えるべきことなど、格闘家にはない。

 しかも対戦相手は、これまでのキャリアの中でも屈指の強敵だ。武尊が迎え撃つ挑戦者はレオナ・ペタス。現在9連勝中、武尊が苦戦した村越優汰をKOしているハードパンチャーだ。この試合は武尊のキャリアにおける最大の試練の一つと見ていい。

 那須川も“最強のチャレンジャー”と対戦する。挑戦者決定トーナメントで優勝した志朗だ(ノンタイトル戦で挑戦者決定トーナメントが行なわれるのは那須川ならではだ)。志朗は1昨年9月にも那須川と対戦し、健闘するも判定負け。ムエタイで闘ってきた志朗だが、そこから“打倒・天心”だけを考え首相撲・ヒジ打ちのないRISEルールにおける闘い方を磨いてきた。

「油断したら負ける」

 リマッチの権利を掴み取った志朗について、那須川ははっきりそう語っている。レオナも志朗も勝って当然の相手ではないし、彼らには「メガマッチへの踏み台にされてたまるか」という思いもあるはずだ。もし武尊と那須川のどちらかに土がつくようなことがあれば“方向転換”の可能性も出てくる。

【次ページ】 那須川の「まだ何も決まってない」が現状に最も近い

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