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<選手権は1、2年生に注目?>高2でJ1湘南内定・鈴木淳之介がライバル視する青森山田の10番とは
posted2020/12/30 11:03
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Teikyo University Kani High School
いよいよ、明日12月31日から第99回全国高校サッカー選手権大会が始まる。
今年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響でインターハイが中止、各ユースリーグもレギュレーションを見直すなど、ユースサッカー界も難しいシーズンを過ごしてきた。そんな中で選手権が開催されることに大きな意義を感じるとともに、感謝の思いを込めて、決戦に向けたプレビューをしていこうと思う。
今年の3年生に主役級の選手がそろうのは当然だが、有望な1、2年生が多いことも今大会の特徴だ。なかでも大会が迫る28日、ビッグニュースが飛び込んできた。J1湘南ベルマーレが、岐阜県代表・帝京大可児高校の“2年生”MF鈴木淳之介の2022年シーズン加入内定を発表したのだ。
「返答を来年まで伸ばそうとは思っていませんでした。もちろん、こんなに早く(内定を)発表することは、『プロ内定選手』として見られるプレッシャーが大きくなる。そこへの不安はありますが、プロになることは今の僕の一番の目標でしたし、いち早く経験を積みたいという思いが強かったので、即答で決めました」(鈴木)
2年生ボランチに注目した湘南
鈴木は180cmの高さと足元の技術を兼ね備えた大型ボランチ。ゲームを組み立てる展開力はもちろん、スペースの感知能力に優れているのが最大の魅力だろう。2列目から、サイドや相手の中盤とDFラインの間に飛び込み、ラストパスやフィニッシュワークに積極的に絡んでいく。また、守備でも抜群のポジショニングでピンチの芽を摘み取る。攻守ともに貢献できる選手だ。
2年生となった今季、チームでレギュラーの座を掴み取った。そんな非凡な才能を見せる鈴木を見逃さなかったのが湘南だった。牛島真諭スカウトはこう語る。
「夏の和倉ユースサッカー大会で見た時に、明らかに他とは違う質の動きをしていた」とピックアップすると、その後も継続的に鈴木を視察。帝京大可児の選手権出場が決まった直後には湘南の練習にも参加させた。
「球際のレベル、スプリントレベルが違った。齊藤未月選手、鈴木冬一選手は大きくないのに体が分厚くて、要所で相手に体をぶつけてボールを奪ったり、相手に楽な体勢でパスを出させなかった。古林将太選手も攻撃で全力スプリントをした後に、守備にも全力スプリントで戻って、それが最後まで全く落ちなかった。走力は意識して磨いてきたつもりでしたが、次元が違いました」(鈴木)