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<選手権は1、2年生に注目?>高2でJ1湘南内定・鈴木淳之介がライバル視する青森山田の10番とは 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTeikyo University Kani High School

posted2020/12/30 11:03

<選手権は1、2年生に注目?>高2でJ1湘南内定・鈴木淳之介がライバル視する青森山田の10番とは<Number Web> photograph by Teikyo University Kani High School

ベルマーレのユニフォームを着て写真に収まるMF鈴木淳之介(帝京大可児高校2年)

本人の思いとは裏腹に周囲は高評価

 しかし、周囲の評価は少し異なっていた。神奈川大学との練習試合では3-5-2のアンカーでプレー。そこで鈴木は落ち着いてボールを捌いただけでなく、相手が狙ってきた鈴木の脇を高い危機察知能力で埋めて、安定感ある動きを披露。これには牛島スカウトも「もっと緊張するかと思ったのですが、スムーズにゲームに入って、リズムを作っていた。周りの選手も『あの練習生は凄いね』と驚いていたほどでした」と舌を巻いた。

 このハイパフォーマンスによって、湘南は早々に獲得を決意。1週間の練習参加を終えた鈴木は、その翌日に校内放送で呼び出され、そこで正式オファーをもらったことを伝え聞いた。

「もうびっくりでした。僕の中ではてっきりこれから何回か練習に参加して、その上で合否をもらうのだろうなと思っていました。まさか、たった(練習参加)1回で、しかもまだ3年生にもなっていないの僕にオファーが来るなんて思ってもいませんでしたから。両親には不安も伝えたのですが、心の中では湘南に行くと決めていました。なので、オファーをもらったその日のうちに回答しました」

鈴木が意識する青森山田・松木玖生

 高体連の選手において、2022年シーズン内定の第1号となった鈴木。開幕を控えた選手権への思いを聞くと、ある同年代のライバルへの想いが溢れた。

「まずは初戦の初芝橋本高校戦に全力を尽くします。ただ、やっぱり3回戦まで勝ち進んで、青森山田高校と戦いたいんです。青森山田には同じ2年生の松木玖生選手がいます。松木選手は全国的に超有名ですし、1年生の時から3年生に対してもあれだけ指示をして、時には厳しい言葉も言って、チームを引っ張れるのは本当に凄い。今年に入ってもやっぱり勝負強いというか、ここぞという時に点を取るし、それは自分にとって負けている部分でもあります。夏の和倉ユースで一度見たことがあるのですが、身体付きが同級生とは思えなくて、相当な努力をしたからこそ、あの身体を手に入れているんだなと思った。プレー面でもメンタル面でも大きな刺激を受けている存在です」

 2年生ながら松木は間違いなく今大会の超目玉選手だ。中学時代から高い決定力とスピード、技術に長け、何より強気なメンタリティーを全面に出すプレーが魅力だった。昨季は1年生ながら高円宮杯U-18プレミアリーグ優勝、選手権準優勝に大きく貢献した。今季は武田英寿(浦和レッズ)からエースナンバー「10番」を引き継いだ。

 そんな松木より先にプロ内定選手になったことで、鈴木の注目度は増すばかりだ。

「松木選手はステージが上の選手だと思っていたけど、自分もこういう立場になったからこそ、いつまでも憧れたり、刺激を受けているだけじゃダメだと思っています。もちろんプレッシャーは感じますが、よく考えたら松木選手は1年の頃からずっとこのプレッシャーと戦っている。改めて尊敬するし、僕も負けていられない」

 果たして、3回戦で“2年生対決”は実現するのか。ぜひ注目してほしい。

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