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那須川天心、朝倉海ら“RIZIN四天王”がそろい踏み 「5年間の集大成」大晦日大会、それぞれの勝算
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2020/12/30 17:10
RIZINトップ選手で最後に出場が決まった那須川天心。“那須川天心というジャンル”を見せたいと語った
ブランク明け、自主隔離期間のあった堀口
一方で堀口はブランク明けのぶっつけ本番だ。アメリカに練習拠点を置いており、試合のために帰国すると2週間の自主隔離期間も必要になった。もちろん本人はそうした状況も込みで試合を決めており、影響はないと考えているだろう。ただ見る側としては、こうしたファクターも頭に入れることで試合への興味がさらに増す。
「今回は俺がチャンピオンなので。チャンピオンとしての実力をしっかり見せて勝ちたい」
公開練習でも、海は自信に満ちていた。前回の対戦では見せていない作戦もあるし、研究が進んで堀口対策の手はさらに増えたそうだ。曰く「凄く自信があります」。一度勝っていることのプラス面はやはり大きい。
「前回の試合でカウンターを当てているので、相手は入りづらくなっていると思います」
さまざまな条件が入り組み、予想がおそろしく困難。だからこそ楽しみな一戦だ。
「狂気的な朝倉未来を見せたい」
海の兄・未来も、この大晦日が正念場となる。11月大会、斎藤裕とのフェザー級王座決定戦でRIZIN初黒星を喫したのだ。大晦日は連戦にして再起戦となる。
対戦するのは前DEEP王者の弥益ドミネーター聡志。対戦発表の会見で、弥益は自分が選ばれたことを「絶対落とせない試合で格闘技を習ってるだけの会社員を選んだ。素晴らしいリスクマネジメント」と皮肉っている。とはいえDJ.taikiや芦田崇宏に勝った実力は、決して侮れるものではない。
未来自身は、相手云々ではなく自分との闘いだと考えているようだ。
「(前回からの変化で)一番大きいのは精神的な部分。保守的になっていたところがあったので。今回は挑戦者的な思考。狂気的な朝倉未来を見せたい」
未来は会見でそう語っている。彼は海の作戦参謀的な立場でもあり、対戦相手を分析する能力に長けている。カウンターのうまさも知られるところで、著書『強者の流儀』では圧倒的なKOよりも判定勝ちに価値を見出しているという記述があった。しっかりとした技術を見せ、攻防を楽しませた上で勝ちたいということだ。