「正直、星野監督の下でプレーしたあの年は、最も楽しいシーズンでした。メジャーでの私は、それまでの5年間、主に左投手が相手の時しか使われず、重要な役割を担っていませんでした。星野監督は、私をすごく必要としてくれた。毎日、球場に通うのが楽しみで仕方なかったんです」

低迷するなか「銀次→ジョーンズ→マギー」へ

　星野監督の優れた野球観も2人を引き付けた。4月を終えて楽天は5位に低迷。攻撃をテコ入れすべく、星野監督は4番ジョーンズ、5番マギーの前に、実績のない若手である銀次を置いた。この組み合わせが打線の口火になった。銀次が高い確率で出塁し、ジョーンズとマギーの長打力が得点に結びついた。

'13年に2人合わせて54本塁打を放ち、日本一に大きく貢献したジョーンズ（左）とマギー

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　9月3日の西武戦が象徴的だった。この試合、2回にマギーが犯したエラーをきっかけに3点を奪われ、序盤の流れを失った。それでも5回にジョーンズのソロ本塁打で追い上げ、8回には阿部俊人、銀次の連打でチャンスをつくる。ここで、マギーが苦手の涌井秀章から左翼へ逆転3ランを放った。

　試合後、星野監督はこう語った。

「この勝ちは大きい。エラーをしてチャンスに凡退すると、落ち込むのが日本人の悪い癖。マギーはお手本だ」

王手で巨人に敗れた田中に「今日、投げるのか？」と聞いたら…

　絶対的エース・田中将大と、マギー＆ジョーンズという2人の“お手本”の活躍を軸に、楽天は球団史上初めて日本シリーズに進出した。巨人を相手に、第5戦で王手をかけたものの、日本一の称号は簡単には手に入らない。第6戦、CSも含めて公式戦26勝無敗を誇っていた田中が打たれ、2－4で敗れた。

　運命の第7戦を前にしたクラブハウス、雑談するマギーとジョーンズの隣に田中が座った。当時をマギーが振り返る。