ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
梶谷が巨人に行っても“DeNAには神里和毅がいる” 4年目のリードオフマンが語る「勝負の1年」
posted2021/01/05 17:01
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
KYODO
DeNAには神里和毅がいる――。
先月中旬、14年間チームに所属した梶谷隆幸がFAで巨人へ移籍することが決まった際、横浜DeNAベイスターズを支持する多くの人たちは落胆したと同時に、神里の存在を思い浮かべたに違いない。
今シーズンで4年目となる俊足好打のリードオフマン。3年目の昨季こそレギュラーを梶谷に明け渡し苦しい思いをしたが、ルーキーイヤーと2年目は“1番・センター”として活躍をしてきた実績がある。
アレックス・ラミレス前監督の「どのように始めるかではなく、どのように終えるか」という口癖ではないが、神里は控えに甘んじることの多かった昨シーズン、最後の最後に翌年へと繋がる活躍をし、存在感を示している。
ラミレス最後で「まさか自分に打席がまわってくるとは」
11月14日に横浜スタジアムで行われたシーズン最終戦。4対3と巨人のリードで迎えた9回裏の場面。2アウト満塁で打席に入った神里は、田口麗斗が投じた初球のフォークを難なくセンター前へと弾き返し、サヨナラ勝ちを演出。ラミレス監督最後の試合に花を添えた。
「最終回が始まるときは、まさか自分に打席がまわってくるとは思っていなかったのですが、流れを見ていたら、これは来るなって。とはいえ、緊張することなく打席には入れましたね」
神里は昨季、規定打席数には届かなかったものの、この最終戦、すでにヒットを1本放っており、この打席に入る前にシーズン打率3割以上をぎりぎり確定させていた。
「規定に届かなくとも、せめて3割は打ちたいと思っていました。それもあって、あの打席はリラックスして入ることができたんです。考えていたのは、シンプルに自分が打てるところに来たら打つ。自分のスイングをしてそれで打てなかったら仕方がない、と冷静に割り切っていたというか、体が勝手に反応したといった感じですね」
また神里はこの前の試合となる11日の阪神戦で決勝点に繋がるエラーを犯しており、名誉挽回もしなければいけなかった。
「あの試合は僕のせいで負けましたし、確かに結果を出さなければと思っていました。ただ、そこまで引きずるようなことはなくて、しっかりと切り替えはできていましたね」
あえて「現在」を考えずにプレーした
昨季、神里が得たものを挙げるとするならば、このメンタル的な“切り替え”は大きかったという。例えば、キャンプ時にはレギュラー候補といわれながら、オープン戦、そして緊急事態宣言明けの練習試合でもアピールをすることができず、入団をして初めて開幕ベンチを逃している。だが意外にも神里は焦ることはなかったという。
「結果を出せない自分が悪い。そう思って、やるべきことをやっていこうって」
そして確信を込めた口調でつづけた。